シテ退く父へ「最後の花道を」 34年ぶり大島家の「三代能」

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
「西行桜」でシテを勤める政允さん=喜多流大島能楽堂提供
「西行桜」でシテを勤める政允さん=喜多流大島能楽堂提供

 能の主役シテを退くと決めた父の「最後の花道に」と用意したのは、孫を含む3世代が共演する「三代能」だった。先代の時代から34年を経て、極めて珍しい2回目の開催で、伝統の芸が4世代をつないだ。

 能楽師シテ方喜多流の大島政允(まさのぶ)さん(80)は、広島県福山市を拠点に活動する大島家の4代目。高齢となり2021年6月の定期公演で「シテは最後にしたい」という意向だった。5代目で長男の輝久さん(47)は終演後の会話で、寂しげな父の姿が気になったという。思いついたのが、自身が13歳だった時に出た「三代能」だった。

 3代目の久見さん(2004年に89歳で死去)が健在だった1989年、輝久さんは父とともに大島家初の「三代能」に出た。懸命な稽古(けいこ)でシテを勤め、終わった後の高揚感は忘れられない。

この記事は有料記事です。

残り660文字(全文1008文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の筆者
すべて見る

ニュース特集