H3発射中止 JAXAは「設計通り」 トラブル、他のロケットでも
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今後20年間の日本の宇宙開発を担う新型主力機が、出だしからつまずいた。H3ロケットの発射がトラブルで直前に中止された。世界で急増する衛星の商業打ち上げ市場に打って出る、日本の宇宙戦略に影響はないのか。
種子島宇宙センター(鹿児島県)で据え付けられたH3の機体を、遠くから大勢の人が見守った。主エンジンは正常に着火し、白い煙を吐き出したが、カウントダウンが「ゼロ」になっても、機体は発射台から動かなかった。
「今日を待っていた方が大勢いる。申し訳ないと思っているし、悔しい」。開発を率いた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の岡田匡史・プロジェクトマネジャーは、記者会見で目を真っ赤にし、涙を拭った。
「失敗ではないのか」。記者会見で問われた岡田氏は「いざとなれば安全な状態で停止させることに、かなりの神経を使っている。その意味では正常に停止したので、設計した意図通りではある」と説明した。
発射を試みたが中止になったケースは、過去にも起きている。
1989年のH1ロケット5号機は、エンジン点火後に緊急停止した。94年のH2ロケット2号機は、今回とほぼ同様、主エンジンに点火したが補助ロケットに点火しなかった。米航空宇宙局(NASA)も2022年11月、国際月探査「アルテミス計画」で月に有人宇宙船を運ぶSLSロケットを発射したが、2回、直前に中止している。
小型ロケットを開発しているベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」(北海道大樹町)の稲川貴大社長は「現場の人間からすると、これを『失敗』と言われるのはあんまりだ。NASAも米スペースXも同じようなことを繰り返している。打ち上げ直前に異常があっても安全性を…
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