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(新潮文庫 825円)
結婚生活の正解は誰が決めるのか。それは当事者の二人以外にはない。
結婚して7年が過ぎたアラフォー夫婦、士郎と結子は共働きでそれぞれの社会を持っている。子供を持つタイムリミットを感じているのは妻だけで、夫はまだ我が身のこととは感じていない。拠(よんどころ)ない理由で別居することになった時に、それぞれの人間関係が動き出す。それは隣にいるパートナーの視線が遠ざかり、心のたがが外れたからかもしれない。結婚しているからと言って、異性に惹(ひ)かれることもあろう。生身の人間だもの、分からないでもない。生きている人間には抗(あらが)えない衝動もある。一度は事故、二度目からは確信だ。しかしそれならば結婚している意味は一体何だろう。一人の人と人生を共にする意味とは何なんだろう。
士郎の気持ちを穏やかにしてくれるのは、馴染(なじ)みの食堂で働く、若くしてシングルマザーになった志木子。結子もデザイン会社の後輩、陸人との関係が反目から同志、それ以上の感情に進む。
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