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サカナ新時代

日本の海に「変化」が起きています。漁業の現場から食卓までその影響に迫ります。

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「ランチ」目当てに規則正しく浮上 旺盛な食欲で養殖ノリ根こそぎ

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養殖ノリを食べるクロダイ=神戸市須磨区沖で2022年冬(兵庫県水産技術センター提供)
養殖ノリを食べるクロダイ=神戸市須磨区沖で2022年冬(兵庫県水産技術センター提供)

 養殖ノリを食い荒らす「犯人」の生態を調査するため、兵庫県水産技術センターが発信器を取り付けたクロダイ10匹のうち9匹は、すぐに受信が途絶えてしまった。しかし唯一残ったIDナンバー「Fish・1」が割り振られた個体は、109日にわたって行動を追跡できた。調査を主導したセンター主任研究員の高倉良太さん(36)が「これはいける」と手応えを感じるほど、Fish・1は謎の多いクロダイの生態について多くの情報をもたらしてくれた。

第1章 暴食クロダイを追え(3)

 Fish・1は、ノリの収穫が始まる2020年の12月上旬に海に戻された。ノリ網付近などの海中に取り付けた複数の受信機によって、位置や深さなど「行動歴」を記録することができる。受信機のデータを解析すると、Fish・1はノリ網のあたりを泳ぎながら1日に数回、水面に浮上してきた。それも、一度浮上すると数時間は滞在している。それは特に食害のひどい場所で、ノリを食べていることを示唆していた。

 一方で、1月中旬になるとFish・1は水面付近に全く現れなくなり、水深10メートル付近に…

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