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中村文則の書斎のつぶやき

芥川賞作家・中村文則さんが、いろいろな場所の「書斎」から、さまざまなことをつぶやきます。

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「自己責任論」の行く末

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中村文則さん=本人提供
中村文則さん=本人提供

 政治がゆがむと、社会に自己責任論が増えていく。

 例えば架空の話として、特定の組織ばかり優遇し、税金の無駄遣いを続け、経済政策も失敗し、国力をどんどん弱めている政府があったとする。ウイルスの流行時、効果の薄いマスクを数百億円もかけて配ったり、当初の予算をかなりオーバーし莫大(ばくだい)なお金で五輪をやり、不正もあって逮捕者が続出しているのに、また五輪をやろうとし、財政が危ないと言いながら、他国からの兵器の爆買いを決めた国があったとする。

 そんな状況下でも、社会が貧しくなっていくのを政府のせいだ、と思われないためには、世論を誘導するしかない。

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