「2人目の子、諦めるしか…」所得制限で重い負担 “子育て罰”の現実
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子育てや教育にお金がかかり過ぎる――。経済的な負担を背景に、2人目、3人目の子どもを「産み控え」している子育て世帯は少なくない。一定の収入があるにもかかわらず、希望通りに子どもを持てないという現実。この日本で「多くの子どもに囲まれながら暮らしたい」と願うのは、かなわぬ夢なのか。【坂根真理】
シリーズ「産む、産まない、産めない~私の場合」は、産むことに関し、悩んだり決断を迫られたりした経験した女性たちの物語を通じ、ジェンダー格差や妊娠・出産・中絶、子育てを巡る問題を考えます
「2人目を産むのは現実的に無理です」。東京都内で暮らす会社員の飯田佳恵さん(35)=仮名=が、ため息をついた。
2022年1月に長女を出産。2人目も欲しかったが、高校や大学の学費など将来の教育費のことを考えると諦めざるを得なかった。
飯田さんは歯科医師の夫と共働きだ。夫の年収は約970万円あるが、児童手当の所得制限の目安となる875万6000円(扶養する子どもが1人の場合。共働き世帯は、どちらか多い方の年収を基準とする)を超えており、手当は満額の3分の1の月5000円に減らされる。
それだけではない。長女が夫と同じ私立大の歯学部に進むと、大学の6年間でかかる学費は3000万円を超えるかもしれない。児童手当の所得制限対象世帯のため、公的な奨学金も利用できない可能性が高い。
所得制限がない民間の奨学金もあるが、対象者数が限られていたり支給額が少なかったりして、必ずしも使いやすいとはいえない。国の高校授業料無償化も、所得制限世帯は対象外だ。
「もし2人目を産んだら、どちらかには進学や塾などを諦めてもらうことになる。我が子に同じ選択肢を与えられないのは、親として申し訳ない」
年収に比例して所得税などの負担は重くなるのに、子育てや教育の支援策に所得制限が設けられ、対象から外れてしまうことには憤りが増すばかりだ。
「まるで“子育て罰”ですよね。産み控えが起きるのは当たり前。子ど…
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