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日本の海に「変化」が起きています。漁業の現場から食卓までその影響に迫ります。

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好物減り続け、ノリに群がる? クロダイ教授「海の変化考える材料」

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網で育った収穫前のノリを食べるクロダイの大群=神戸市須磨区の沿岸で2019年12月(兵庫県水産技術センター提供)
網で育った収穫前のノリを食べるクロダイの大群=神戸市須磨区の沿岸で2019年12月(兵庫県水産技術センター提供)

 クロダイによるノリ養殖の食害は、全国の産地で問題化している。しかも、被害は拡大傾向にあり、生産者にとっては死活問題だ。主に神戸・須磨の養殖現場に足を運ぶ中で私(記者)は、かつて取材したことがあるブラックバスの増殖を思い浮かべるようになっていた。外来種ながら日本で生息域を広げ、湖や池の貴重な在来種を圧迫するブラックバスが、大切に育てられたノリに群がるクロダイに重なるのだ。

第1章 暴食クロダイを追え(5)

 だが、この食害という現象をクロダイの側から考えてみると、少し違った光景が見えてくる。

 広島大の海野徹也教授(水産増殖学)は、クロダイを研究する世界的にも数少ない専門家だ。釣り好きだった少年時代、「もっと勉強すれば、釣りにくいクロダイを釣れるようになるかもしれない」と、大学で水産学を専攻。そのままクロダイの研究者になった。研究熱心なあまり、「逆にクロダイに釣られている」と周囲から評されている海野教授の指摘を基に、食害の背景にあるものを考えてみたい。

 クロダイがなぜノリを食べるのか。海野教授はまず、…

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