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ミサイル攻撃で破壊し尽くされた街、がれきを前にぼうぜんとたたずむ人々――。ロシアによるウクライナ侵攻が始まって1年もたつのに、見るに堪えない光景がいまだに広がる。戦争と平和を科学的に分析・研究する早稲田大の多湖淳教授に、戦争が起きる要因を解説してもらった。その要因をウクライナ侵攻にあてはめると、戦争終結の道筋が見えない理由が浮かび上がる。【聞き手・宇田川恵/オピニオングループ】
「戦争は外交より非効率」だが…
――不毛な行為としか見えないのに、なぜ戦争は起きてしまうのでしょうか。
◆戦争は深刻な破壊行為を伴うため、必ず大きなコストがかかります。問題を解決する手段としては外交や話し合いより明らかに非効率で、それは世界の共通認識です。それでも戦争は起きてしまう。それには、いくつか要因があります。
――どんな要因があると?
◆まず、相手との認識の違いである「情報の非対称性」が埋められない場合です。相手の能力が低いなどと誤解して戦争を始めてしまうことがあります。
約束が守られるか分からないという「コミットメント問題」も原因になります。国際社会には中央政府が存在しないので、大国が小国との約束を永遠に守るという保証がありません。このため、弱体化しつつある国が将来を不安に思い、「勝てるうちに領土を確保しよう」などと考え、予防的に戦争を起こすことがあるのです。
この他、宗教的な聖地を獲得したいなど、こだわりである「価値不可分性」や、国のリーダーが国民の人気を得ようとするなど国内政治が要因になる場合もあります。
戦争が長期化する訳は…
――ロシアによるウクライナ侵攻は何が要因だったのですか。
◆情報の非対称性は実際にあったと言えます。ロシアのプーチン大統領は「攻撃したらすぐ勝てる」という見通しを情報機関からたくさん聞かされていたはずです。しかし、その情報は誤っていました。
情報の非対称性だけで始まる戦争なら、1年以内に終わることが多いとされています。「勝ち目がない」と分かれば、侵攻した国はすぐ撤退するからです。1990年8月にイラクがクウェートに侵攻したことによる湾岸危機はその一例で、イラクは数カ月で敗走しました。
――今回の場合、ロシアは「すぐ勝てる」という情報が誤りだと知ったはずですが、戦争は続いています。
◆情報の非対称性だ…
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