九州集中契機は継体大王? 装飾古墳の謎を追う 新書刊行の河野一隆・九博学芸部長

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福岡県桂川町の国特別史跡・桂川王塚古墳の築造当時の姿をバーチャル再現。色鮮やかな世界がよみがえった=東京大学池内克史研究室・凸版印刷作成、王塚装飾古墳館協力
福岡県桂川町の国特別史跡・桂川王塚古墳の築造当時の姿をバーチャル再現。色鮮やかな世界がよみがえった=東京大学池内克史研究室・凸版印刷作成、王塚装飾古墳館協力

 <土曜カルチャー>

 黄や赤、緑など色鮮やかな三角形や円を重ねた幾何学模様などが現代人を引き付けてやまない装飾古墳。現在、全国で約700基が確認されているが、その半数が九州に集中している。一方、古墳文化の中心地といえる近畿ではほとんど見つかっていない。そんな装飾古墳の謎に大胆な仮説を唱えた新書『装飾古墳の謎』(文春新書)が刊行された。高校時代から装飾古墳に魅せられていたという著者の河野一隆・九州国立博物館学芸部長に聞いた。

 なぜ、装飾古墳は九州に集中しているのか。これまでは九州の「ローカルな文化」として捉える考え方もあったが、河野さんはそれに真っ向から反対する。そして、導き出したのが、死生観の違いによる「飾られた死者」(九州)と「隠された死者」(近畿)の差異であり、継体大王(天皇)による<死生観のイデオロギー革命>との仮説を提示している。

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