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中西寛(ひろし)・京都大教授
林芳正外相が国会審議のためにインドで開催された主要20カ国・地域(G20)外相会合を欠席したことはメディアでも注目を集めた。閣僚が議会出席など国内政治上の必要から国際行事を欠席すること自体は日本以外でもままあることではある。しかし今回は参院予算委員会の予算案冒頭審議のために全閣僚が出席するという慣例的要素が強く、事実、林氏の答弁時間は1分弱だったと伝えられる。G20外相会合に出席してどのような効果があったかは別として、主要7カ国(G7)議長国であり、国連安保理の非常任理事国である今年の日本の立場からは出席すべきだったという声が出るのも自然だろう。
しかしこの件は誰の責任でこうなったかで終わらせるのではなく、日本の国会審議をめぐる制度についても問うべきだろう。言うまでもなく広く有権者の選挙によって選ばれる代表からなる議会は自由民主主義体制の根幹であり、日本国憲法も「国会は国権の最高機関」と規定している。しかし日本の国会の現状を高く評価する声はほとんど聞かれない。あえて国会議員諸氏への非礼を顧みずに書けば、多くの国民にとって国会は、声高に政府…
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