元徴用工解決策、識者の見方 韓国の実効性は?日本はどうする?

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元徴用工訴訟問題の解決策を発表する朴振外相=韓国・ソウルの韓国外務省で2023年3月6日、AP
元徴用工訴訟問題の解決策を発表する朴振外相=韓国・ソウルの韓国外務省で2023年3月6日、AP

 韓国政府が6日、日本企業への賠償命令判決が確定した元徴用工問題の解決策を公式発表したのを受け、日韓は関係改善に乗り出した。日韓政府、財界の対応に対する評価、残る課題について専門家に聞いた。

韓国側の実行、不安は残る

平岩俊司・南山大教授

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権による解決策に対し、岸田文雄首相や林芳正外相ら日本側も積極的に前向きなメッセージを出して呼応し、関係改善に向けた日韓両政府の思いが明確に表れた。日韓関係を健全な状態に戻し、より対等で未来志向の形にしていく契機にもなり得ると期待している。

 韓国大法院(最高裁)の判決は、1965年の日韓基本条約でも決着せず解釈を曖昧にした植民地支配の合法性について「不法」とした。その上で元徴用工の個人の請求権を同年の日韓請求権協定の対象外とした。これは日本政府として到底受け入れられない内容だった。尹政権はこの問題で日本側に妥協の余地はないと理解した上で、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮を含む東アジア情勢の変化も踏まえ、保守政権にとって最重要課題である米韓関係と表裏一体である日韓関係の改善に動いた。

 岸田政権は、元徴用工への損害賠償を含む問題は請求権協定によって解決済みとの立場の根幹は変えずに、…

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