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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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親子げんかが最後の言葉 母への後悔と感謝を胸に生きる女性の教訓

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津波で母と祖父母を亡くした斎藤美恵さん。生き残った長女とともに「毎日を大事にしていこう」と決めている=宮城県の海岸で2023年2月27日午前11時8分、土江洋範撮影
津波で母と祖父母を亡くした斎藤美恵さん。生き残った長女とともに「毎日を大事にしていこう」と決めている=宮城県の海岸で2023年2月27日午前11時8分、土江洋範撮影

 「今まで黙っていたけど……」。宮城県多賀城(たがじょう)市の自営業、斎藤美恵さん(42)は12年前のその日、初めて母から真実を聞かされた。子供の頃、親子離ればなれに暮らさなければならなかった理由についてだった。2011年3月10日のことだ。

 思わず反発が口をついて出た。「そんなの私が寂しい思いをした理由にならないよね」。翌日、東日本大震災の津波で母は亡くなった。最後の会話が親子げんかになってしまったことを、斎藤さんは今でも悔やんでいる。

 斎藤さんは当時、1歳8カ月の長女を持つシングルマザーで、飲食店の仕事を辞めて育児に専念していた。住まいは宮城県七ケ浜(しちがはま)町の海沿いにあった祖父母宅。同じ敷地の離れで、母の渡辺菊江さん(当時48歳)が暮らしていた。

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