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「今まで黙っていたけど……」。宮城県多賀城(たがじょう)市の自営業、斎藤美恵さん(42)は12年前のその日、初めて母から真実を聞かされた。子供の頃、親子離ればなれに暮らさなければならなかった理由についてだった。2011年3月10日のことだ。
思わず反発が口をついて出た。「そんなの私が寂しい思いをした理由にならないよね」。翌日、東日本大震災の津波で母は亡くなった。最後の会話が親子げんかになってしまったことを、斎藤さんは今でも悔やんでいる。
斎藤さんは当時、1歳8カ月の長女を持つシングルマザーで、飲食店の仕事を辞めて育児に専念していた。住まいは宮城県七ケ浜(しちがはま)町の海沿いにあった祖父母宅。同じ敷地の離れで、母の渡辺菊江さん(当時48歳)が暮らしていた。
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