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「君と話したい」。それはSNS(ネット交流サービス)のメッセージから始まった。「レディコミの女王」として知られる人気漫画家、井出智香恵さん(75)=京都市南区=は2018年から21年にかけ、SNS上でハリウッド俳優をかたる人物による国際ロマンス詐欺に遭い、計約7500万円をだまし取られた。大切な漫画の原画を売って金策に走るほど過酷な状況に追い込まれた井出さん。「偽りの恋」にはまったワケとは――。
最初は無視していた
井出さんは少女漫画誌「りぼん」でデビュー、1968年連載開始の「ビバ! バレーボール」が人気を集めた。80年代以降はレディースコミックで活躍。「源氏物語」などの古典作品の漫画化も手がける。国際ロマンス詐欺の被害に遭った後、その実態を知ってもらおうと、自らの体験を著書「毒の恋 7500万円を奪われた『実録・国際ロマンス詐欺』」(双葉社)にまとめ、22年8月に出版した。現在はその漫画化にも取り組んでいる。
井出さんはハリウッド俳優のマーク・ラファロさんが出演する映画が好きで、マークさんのツイッターの投稿などに「いいね」を押していたという。すると、18年2月、フェイスブックを通じてマークさんをかたる人物から「君と話したい」と英語で連絡があった。
マークさんは米アカデミー賞の助演男優賞に複数回ノミネートされ、人気映画「アベンジャーズ」シリーズでヒーロー役にも起用された実力派。最初は「うれしい。信じられない」と舞い上がったが、知人に偽者ではないかと指摘されて、メッセージを無視するようにしていた。
すると相手に「いいかげんに冗談はやめろ。…
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