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ウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻から1年。長期化する戦闘、大きく変化した国際社会の行方は……。

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銃後のロシアで「進化」するラーメン 戦争と切り離された市民の味

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焼き上げたマスを乗せたラーメン=モスクワで2023年3月3日、大前仁撮影
焼き上げたマスを乗せたラーメン=モスクワで2023年3月3日、大前仁撮影

 ウクライナ侵攻を受け、国際社会から相次いで制裁を科されたロシアだが、以前とあまり変わらないような市民の暮らしもある。モスクワの日本料理店に足を運んでみると、焼き魚を乗せたラーメンや和牛を使ったギョーザといった独創的なメニューが供され、好評を博しているようだ。隣国との戦闘の銃後で「進化」を遂げるロシアのラーメン文化とは。

 カリッと焼かれたマスがラーメンの上に乗せられていて、何ともいえない存在感を出している。箸をつけてみると、焼き具合はちょうどいい案配だ。次にスープに口をつけてみる。爽やかなレモンの風味が口内に広がった。

 焼いたマスが乗ったラーメンと聞いて、最初はどんなものが出てくるのかと身構えたのだが、早々に完食できた。1杯の値段は760ルーブル(約1400円)だから、日本の感覚だと少し高いといえるかもしれない。

 今年1月にモスクワに再び赴任した記者は、前回の勤務(2018~20年)の際にも、「クウ」という名のこの店に足しげく通った。その時に驚きながら食べたのが、ロシア伝統のスープ料理ボルシチにラーメンの麺を入れたものだった。個人的にボルシチは大好きだが「ラーメンとは合わないかも」と、半信半疑で注文してみたのだが、意外や意外、満足感を覚えた。その時の体験があったからこそ、今回もマスラーメンを頼む気になれたのだ。

 17年に開店したクウはモスクワ市内に4店舗を構え、ロシアのラーメン業界のフロントランナーと目されている。しょうゆ、塩、みそなど古典的なラーメンがメニューの中心だ。それに加え、これまでも和牛をトッピングしたラーメンや、グリュイエールというチーズを入れたラーメンなどを提供してきた。

 なぜ今回はマスラーメンを始めたのか。…

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【ウクライナ侵攻】

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