- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

2月末、あるロシア人の政治学者が静かに生涯を終えた。2000年代初頭にプーチン露大統領の権力掌握を手助けしたが、後にたもとを分かった。「プーチン大統領の生みの親」とも呼ばれたこの人物は、隣国ウクライナへの侵攻をどう思っていたのか。4年前に記者が取材した当時の発言を紹介しながら、考えてみる。
グレブ・パブロフスキー氏(享年71)は、独裁国家だったソ連邦が崩壊し、その後に誕生したロシアの変貌を体現するような生涯を送った人物だ。
ソ連時代のウクライナ共和国の南部オデッサに生まれる。政治学者として頭角を現すが、地下出版での刊行物などが反ソ的活動との罪に問われ、1980年代にロシア北部に流刑にされた時期もあった。
91年にロシアが誕生すると、その人生は急転する。メディアなどでの職を経て、政治コンサルタントに転じ、当時のエリツィン大統領の再選(96年)に貢献。その後は国内でそれほど知られていなかったプーチン氏の陣営に加わり、2000年の大統領選に向けたイメージ戦略に携わった。
「意図的にプーチン氏の謎の部分を強調した」。パブロフスキー氏は後に米紙ワシントン・ポストにこう語るなど、謎めいたプーチン氏の人物像を前面に出し、国民の関心を引こうとしたという。同じ年の米大統領選では、政治コンサルタントのカール・ローブ氏がブッシュ(子)共和党候補の当選に貢献していた。キャンペーン展開の類似点が指摘され、パブロフスキー氏は「ロシア版ローブ氏」とも呼ばれた。
この時期のロシアの政界や社会は、ソ連崩壊後の混乱から抜け切れていなかった。そのため、安定を取り戻すことを優先する思いから、パブロフスキー氏はプーチン氏の大統領就任後、強権的な統治体制も是認した。
長く連携を取り続けたプーチン、パブロフスキーの両氏だが、11年に決別の時を迎えた。…
この記事は有料記事です。
残り1356文字(全文2122文字)
時系列で見る
-
ウクライナ避難学生68人に修了証 日本経済大で卒業式
16日前 -
インフラ復興「協力を」 オデッサ市長、姉妹都市の横浜市初訪問 /神奈川
16日前 -
理事長発言で行政指導 県、学習継続望む学生を支援 /群馬
16日前 -
民間人を殺害、監禁… 「ロシア軍が戦争犯罪」国連調査委が報告書
16日前 -
ポーランドとスロバキア、ウクライナに戦闘機供与へ NATOで初
16日前 -
9カ国、独戦車レオパルト150両をウクライナに(3月16日)
16日前 -
「日本は本当の友人」 ウクライナ・オデッサ市長が横浜市を訪問
16日前 -
「難民貴族」発言は不適切 群馬県が日本語学校の運営法人に行政指導
16日前 -
ドイツ製戦車レオパルト計150両供与へ 9カ国がウクライナと約束
17日前 -
政権批判に転じたプーチン氏“生みの親” その真意を読み解く
17日前 -
前向きな思い銅像に ウクライナ人作家、富山・高岡で制作 /富山
17日前 -
「ロシアは衝突望んでいない」駐米大使が声明 米軍無人機墜落で
17日前 -
戦争の不条理訴える ウクライナ人学生「卒業証書」展 神戸 /兵庫
18日前 -
米軍無人機、ロシア軍の戦闘機と衝突 黒海の公海上空で
18日前 -
戦争と平和 プロパガンダの背景
18日前注目の連載 -
米特使、ウクライナ産穀物の輸出合意「期間の延長が必要」
18日前 -
防衛相「ウクライナを最大限支援」 来日の国防次官と会談
18日前 -
英スナク政権、外交安保方針を発表 台湾問題に初めて明確に言及
19日前 -
ロシア、穀物輸出合意の延長受け入れる方針 期間は60日主張
19日前