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サカナ新時代

日本の海に「変化」が起きています。漁業の現場から食卓までその影響に迫ります。

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「たたきつぶせ」魚の産卵場荒らす厄介者 県と漁業者が徹底駆除

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ウニをふんだんに使った丼=2019年5月20日午後1時21分、目野創撮影
ウニをふんだんに使った丼=2019年5月20日午後1時21分、目野創撮影

 第2章では、すしや海鮮丼のネタとして人気のあの生き物について取り上げます。味が悪い、身が少ないといった商品価値の低い一部の種類が日本の海で増殖し、魚や貝のすみかとなる海藻を食べ尽くす「厄介者」になっています。一方、食用として珍重される種類は近い将来、日本周辺から姿を消してしまう恐れもあるというのです。鋭いトゲが特徴のこの生き物に、いったい何が起きているのでしょうか。

第2章 招かれざるウニ(1)

 梅雨の晴れ間に恵まれた日本海の磯辺に、ウエットスーツに身を包んだダイバーが数人集まっていた。手には、いかめしいバールや金づちがしっかりと握られている。

 2022年6月、鳥取県大山町の海岸では、県が主導して「ムラサキウニ」の大規模な駆除が始まった。通称「ウニ・ゼロ作戦」。漁師やボランティアのダイバーたちは海底まで潜り、岩場で黒光りしたムラサキウニを金づちなどで次々にたたき潰していく。割れた殻から、オレンジ色の身が飛び出して海中を漂い、小魚がわっと群がった。

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