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サカナ新時代

日本の海に「変化」が起きています。漁業の現場から食卓までその影響に迫ります。

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食えぬなら食わせてみせよう キャベツ、ナシ…名産品で試行錯誤

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「磯焼け」した海底。ガンガゼが消波ブロックの表面にあった海藻を食べ尽くしたという=愛媛県愛南町で(同町提供)
「磯焼け」した海底。ガンガゼが消波ブロックの表面にあった海藻を食べ尽くしたという=愛媛県愛南町で(同町提供)

 「たたき潰すなんてもったいない」

 「かわいそう。生き物を殺す様子を子どもに見せたくない」

 2022年6月、地元の漁師らと共にムラサキウニの徹底駆除に乗り出した鳥取県には、テレビや新聞で取り組みを知ったとみられる人たちからの意見がメールで続々と寄せられた。「ここまでたくさんの人に関心をもってもらえるとは」。県水産振興課の職員は、文面を目で追いながら、その反響の大きさにただ驚いていた。

第2章 招かれざるウニ(2)

 さらに県漁協には、複数の水産業者から「駆除するムラサキウニを育てて商品化したい。譲ってほしい」との相談が相次いだ。こちらは単に「かわいそう」というのではなく、もっと切実な背景があった。

 鳥取だけでなく、全国各地でウニは海藻の生い茂る藻場を食い荒らし、磯焼けを生じさせている。その結果、海藻がなくなった場所で生息するウニが痩せてしまい、…

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