封印された震災の記憶 精神科医が見たPTSD
毎日新聞
2023/3/18 19:00(最終更新 4/4 18:41)
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命の危険を覚えたあの日の記憶。長い時を経て突然フラッシュバックとして表れたり、原因が分からないまま不眠になったり、多くの被災者を苦しめ続けている。10年間、福島の人々に寄り添ってきた精神科医の目で、心の傷の実態が少しずつ明らかになってきた。
きっかけは、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際に発動する全国瞬時警報システム(Jアラート)だった。福島県相馬市の女性会社員(50)は2017年8月29日、スマートフォンに届いた緊急速報メールのけたたましい音に恐怖感が湧き起こり、東京電力福島第1原発事故の発生当時の記憶がよみがえった。
東日本大震災が発生した11年3月11日。女性は4歳だった長男、母と3人で市内の実家で暮らし、自宅で大きな揺れに襲われた。市の臨時職員だったため、翌日は避難者の炊き出しへ。突然、男性職員の叫ぶ声が聞こえた。「(福島第1原発から)放射性物質が飛んでくるぞ!」。自衛隊員が近くの建物に駆け込む姿に「このまま死んでしまうのか」とおののいた。
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