愛せない“普通”じゃなくても良い母に=生野由佳(デジタル報道センター)
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予期せぬ妊娠で、長女心葉さん(仮名、6歳)を出産したものの、「母性が湧かない」と苦しんだ東北地方在住の会社員、優さん(仮名、37歳)。でも、本当は心当たりがあった。
前編<母性がなくても~母の覚悟>
「母親に愛されなかった」
5人兄妹の2番目。専業主婦の母親と、仕事人間の父親。切り詰めた生活で我慢ばかりの毎日だった。
母親は自分を愛するというより、自分を教育する存在。兄妹に一切の反論を許さなかった。存在を否定されていると感じて「生まれてこなくてよかった」とさえ思っていた。
小学生の間、習い事は決められた運動系だけ。門限に遅れると竹刀でお尻をたたかれた。大好きな漫画は買ってはいけない。
こだわりが強かった優さんは人一倍、反発した。目標は「一日でも早く家を出る」。
今振り返れば、と優さんは思う。
「母親も母親なりに子育てに必死だったのだと思います。5人も子どもがいて、厳しく接して統率していくしかなかったのでしょう」
大人になってかつての不満をぶつけた優さんに、母親は言った。「私なりに愛情を持って、精いっぱい育てたわよ。あの頃はただただ必死だったの……」
だけど、優さんは「母親に愛された記憶が全くないんです」と言い切る。「そんな私が子どもを愛せるとは思いませんでした」
出産、苦しんだ「同調圧力」
短大卒業後、東京でファッション誌や漫画の編集者にな…
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