「リーマンの再来」即応したスイス クレディS買収、わずか2日

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スイス金融最大手UBSによる同業クレディ・スイスの買収・合併について記者会見する(右から順に)スイス国立銀行のジョルダン総裁、スイスのベルセ大統領、ケラーズッター財務相、UBSのケレハー会長=スイス・ベルンで3月19日、ロイター
スイス金融最大手UBSによる同業クレディ・スイスの買収・合併について記者会見する(右から順に)スイス国立銀行のジョルダン総裁、スイスのベルセ大統領、ケラーズッター財務相、UBSのケレハー会長=スイス・ベルンで3月19日、ロイター

 スイスの金融最大手UBSが、経営危機に陥っていた同大手クレディ・スイスを買収することを決めた。米銀破綻をきっかけとした信用不安が巨大金融機関同士の合併に発展した形で、交渉は2日あまりで決着するという異例の展開。信用不安の発端となった米国でも当局が特例措置を繰り出しており、各国は金融不安の抑え込みに追われている。

「国際的に重要な銀行」の危機

 信用不安が拡大したクレディ・スイスを、同じくスイス最大手の銀行UBSが買収することが決まった。わずか2日で決着した巨大金融機関同士の合併。その背景には、世界的な金融危機への懸念があった。

 「クレディ・スイスが破綻すれば、スイスの金融市場に巨大な損害が生じ、UBSや他の金融機関、そして国際的に波及するリスクがあった」。19日夜、スイスの首都ベルンで開かれた記者会見で、スイスのケラーズッター財務相は安堵(あんど)の表情を見せた。会見が開かれたのが現地の日曜夜だったことが、この合併の異例さを物語る。

 UBSによるクレディ・スイスの買収は、スイス金融当局が打った窮余の策だった。

 クレディ・スイスは相次ぐ不祥事で預金の流出が続くなど信用力が揺らいでいたが、今月14日に過去の財務報告の内部統制に「重大な弱点」があったとする年次報告書を公表。15日には筆頭株主のサウジナショナル銀行が追加投資を否定したと報じられ、経営不安に拍車がかかった。米シリコンバレー銀行の破綻をきっかけに世界的に金融不安が高まっており、15日のクレディ・スイスの株価は一時、前日比30%超下落した。

 株価急落を受け、スイス国立銀行(中央銀行)と金融監督当局は即座に、クレディ・スイスに資金供給する用意があるとの声明を出し、市場の不安の払拭(ふっしょく)を図った。16日には株価が持ち直したが、17日には再び下落し信用不安は収まらなかった。

 「17日の株価の動きは、市場からの信用の回復が、もはや難しいことを示していた。迅速で安定的な解決策がどうしても必要だった」。会見に出席したスイスのベルセ大統領は、そう振り返った。

 「迅速な解決策」が必要なのには理由があった。

 クレディ・スイスは、…

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