「曲芸的」盗塁の社・尾崎寛介　トランポリンのおかげ　センバツ

センバツ第3日（20日）2回戦　○海星（長崎）5―1社（兵庫）●

　とっさの判断で急ブレーキ。捕手から送球された遊撃手のグラブをひらりとかわし、右手一つで二塁ベースにタッチした。社の尾崎寛介が曲芸的な動きで成功させた二盗。小学生時代にトランポリンで培ったリズム感のたまものだった。

　四回2死から中前打で出塁し、続く8番・隈翼への2球目だった。ランエンドヒットのサインで外角に球が外れ、隈はバットを振らなかった。「いいスタートは切れたが、リードが小さかった。だいぶ手前でアウトだと思った」。遊撃手が余裕をもってタッチにきたタイミングで急停止し、とっさに体を右にひねった。

　二塁走者として残り、3ボール1ストライクから再びランエンドヒットのサイン。今度は隈がセンターにはじき返し、50メートル走6秒2の快足を飛ばして悠々と本塁に還った。

　小学生時代は「ちょっと走ると、すぐに膝が痛くなった」。足首が硬かったという。下半身の柔軟性を身につけようと、自宅近くのトランポリン教室に1年間通った。空中で1回転する前方宙返りを身につけ、「高く跳ぶにはタイミングを合わせないといけない。体の使い方は生きたかな」と笑う。トランポリンの練習の効果で下半身のけがもほとんどなくなった。

　中学時代は硬式野球チームで全国大会出場経験があり、昨秋の兵庫大会で1年生ながら内野手のレギュラーを勝ち取った。自身初の甲子園は「負けたのが悔しかったが、緊張もなく楽しめた」。伸び伸びと躍動し、大観衆の目を奪ってみせた。【伝田賢史】