プーチンのプロパガンダ 国内向けの「物語」も賞味期限切れ?
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ロシア政府はウクライナ侵攻以前から国内外でさまざまなプロパガンダ攻勢をかけてきた。なぜ国民はだまされたのか。プロパガンダの裏にはプーチン大統領のゆがんだ使命感が見え隠れする。クリミア併合(2014年)の頃から、ロシアの動きに警鐘を鳴らしてきた宇山智彦・北海道大教授に聞いた。【聞き手・鈴木英生】
ロシア人の常識やノスタルジーに訴える
ロシアの国内向けプロパガンダは、プーチン政権が誕生した00年以降、段階的に強まった。国民になじみの深い歴史やロシア人の常識、気分に合致する話を状況に応じて使い、広く浸透した。他方、国外向けプロパガンダは、今や「相手をしてくれる人だけに通じればよい」感じだ。
国内向けプロパガンダの原点は「ソ連の崩壊後の混乱からプーチン大統領がロシアを救った」とのストーリーである。確かに1990年代、経済や社会は混乱したが、大統領の取り巻きにはこの時期に財を成し始めた人物が多い。彼らに限らず、あの時代をそれなりに楽しんだ国民も多い。
ただ、プーチン氏ら政治エリートにとってソ連崩壊は屈辱だったうえ、90年代以降、「欧米が大国ロシアを正当に扱ってこなかった」との不満は強い。これが、「欧米による、昔からのロシア弱体化戦略が今も続いている」との被害妄想的なプロパガンダにつながった。
ソ連時代、庶民には政府のプロパガンダと適当に付き合い、内輪で本音を言い合う人も多かった。しかし今、当時を知る高齢者が、言論が自由だった90年代を経たのに、テレビのプロパガンダを信じる。90年代の悪い面ばかりが強調されて、ソ連へのノスタルジーをかき立てられたのが遠因だろう。物不足などソ連時代の悪い記憶は、都合良く脇に追いやられた。90年代の世論調査でソ連崩壊を否定的に捉える人は少数派だったが、00年代以降、徐々に増えていった。
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