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「甲子園で優勝なんかしなければよかった」。そう思い詰めたこともある。第95回記念選抜高校野球大会で22日に登場した常葉大菊川(静岡)の石岡諒哉監督(33)は、同校が初優勝した2007年センバツで正捕手だった。社会人野球での挫折を糧に、指導者として初めて思い出の聖地に立った。
16年前のセンバツ。石岡さんはエース左腕、田中健二朗選手(現プロ野球・DeNA)とバッテリーを組んで勝ち進み、準々決勝で大会屈指のスラッガー、中田翔選手(同・巨人)を擁する大阪桐蔭と対戦した。中田選手に対して「田中の得意な内角で勝負する」と決めて競り勝ち、チームは一気に頂点へ。最後の夏の甲子園も4強。卒業後は社会人野球の名門である現在のENEOSに進み、プロ入りを目指した。
だが入社から1年が過ぎた頃、暗転する。より正確に送球しようとフォームを試行錯誤していたところ、投げ方が突然分からなくなった。思い通りに体が動かせなくなる運動障害「イップス」だった。「何とかしなければ」。連日300球以上の送球練習を繰り返すうちに右肘を故障してしまう。表舞台に立つことなく、社会人野球生活に7年間でピリオドを打った。
引退後も野球への情熱は抑えがたく、17年に母校のコーチに就き、20年から監督に。体づくりの範を示そうと週3回、朝5時から筋力トレーニングに打ち込み、100キロのベンチプレスを軽々と上げる。バットを振れば強烈な打球を連発する。そんな指揮官の姿に、正捕手の鈴木叶(きょう)選手(3年)は「石岡さんは自分の目標。超えたい存在です」と憧れる。
帰ってきたこの日の甲子園は接戦の末、専大松戸(千葉)に敗れた。「めちゃくちゃ悔しいけど、やっぱりいい場所。ここで選手たちを勝たせてあげたいと思った」
センバツ制覇の栄光から一転、社会人野球時代はグラウンドに出ることにおびえた。それでも現役最後の試合で3安打を打てたのは、再起を信じてもがき続けた努力が報われたのだと思っている。だから今、選手には「当たり前のことを、ばかになってちゃんとやる気持ち」を求める。凡打で全力疾走を怠る選手には厳しい言葉もぶつける。
次は夏の甲子園。石岡監督と選手たちの新たな挑戦が始まった。【皆川真仁】
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