特集

第95回センバツ高校野球

第95回選抜高校野球大会(2023年)の特集サイトです。

特集一覧

アルプス席に難病の母 センバツは2度目の晴れ姿「夏こそ勝つ姿を」

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
【光-彦根総合】2番手として登板した彦根総合の野下陽祐投手=阪神甲子園球場で2023年3月22日、平川義之撮影
【光-彦根総合】2番手として登板した彦根総合の野下陽祐投手=阪神甲子園球場で2023年3月22日、平川義之撮影

 難病の母に晴れ姿を見せた。第95回記念選抜高校野球大会第5日の22日、初出場の彦根総合(滋賀)のエース左腕、野下(のげ)陽祐投手(3年)は、車椅子で阪神甲子園球場を訪れた母順子さん(49)の見つめる先で力いっぱい腕を振った。

 野下投手は1年春の県大会からエースを張った。チームには投手が12人もいて競争は激しいが「誰にも譲らない」と、縦と横のスライダーを磨いてきた。上田修司コーチ(36)は「球の出所が見えにくい。何より、打者に向かっていく気持ちが強い」と評価する。

 順子さんは、野下投手が中学生の時に脊髄(せきずい)の中に空洞ができ運動まひなどを引き起こす国指定の難病、脊髄空洞症を発症、現在は歩行器や車椅子を使って生活する。

 高校生の野下投手がプレーする姿を生で見たのは、入学直後の2021年5月に滋賀県内の球場であった練習試合の一度きり。家族ぐるみの付き合いがある野球部の山田光義コーチ(66)らの配慮で実現したが、それ以降は「周りに迷惑をかける」と球場に出かけるのは控え、夫の哲夫さん(49)が撮った映像を通じて投げっぷりを見守ってきた。

 昨秋の県大会の試合中には、選手たちが監督から叱られた後、「反省は試合が終わってからだ」とチームメートを鼓舞する野下投手の大声が映像から聞こえてきた。「だんだん声かけができるようになってきた」と成長を感じたという。彦根総合のセンバツ初出場が決まった1月27日、野下投手は山田コーチに…

この記事は有料記事です。

残り278文字(全文893文字)

関連記事

あわせて読みたい

マイページでフォローする

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月

ニュース特集