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第95回センバツ高校野球

第95回選抜高校野球大会(2023年)の特集サイトです。

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センバツ高校野球 常葉大菊川、最後まで諦めず 投手戦、足絡め好機演出 /静岡

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【常葉大菊川-専大松戸】専大松戸に敗れ、グラウンドを後にする常葉大菊川の選手たち=阪神甲子園球場で2023年3月22日、平川義之撮影 拡大
【常葉大菊川-専大松戸】専大松戸に敗れ、グラウンドを後にする常葉大菊川の選手たち=阪神甲子園球場で2023年3月22日、平川義之撮影

 第95回記念選抜高校野球大会第5日の22日、県勢の常葉大菊川は初戦となる2回戦で専大松戸(千葉)に0-3で敗れた。大会屈指の右腕・平野大地(3年)から再三好機をつくったが、あと一本が出なかった。最後まで諦めないナインの姿に、一塁側スタンドからは惜しみない声援が送られた。【皆川真仁、森田采花】

 常葉大菊川は、先発左腕の久保綾哉(2年)が初回1死から3連続四死球と乱れ、適時打と押し出し四球で3失点した。だが、以降は吹っ切れたのか、本来の落ち着きを取り戻した。コーナーを丁寧について、先発同士の投手戦に持ち込んだ。

【常葉大菊川-専大松戸】五回表常葉大菊川2死一塁、打者鈴木来の時一塁走者・内山が二盗成功=阪神甲子園球場で2023年3月22日、藤井達也撮影 拡大
【常葉大菊川-専大松戸】五回表常葉大菊川2死一塁、打者鈴木来の時一塁走者・内山が二盗成功=阪神甲子園球場で2023年3月22日、藤井達也撮影

 その久保を援護したい打線は、5盗塁と足を絡めながら好機を演出。6イニングで得点圏に走者を進めたものの、相手のエースと守備陣に要所を締められ、本塁に届かなかった。

 石岡諒哉監督(33)は「相手投手が一枚うわてだった」とたたえ、「紙一重の勝負で打てる技術をつけて、甲子園に帰ってきたい」と夏を見据えた。

新曲で500人が大声援

常葉大菊川の逆転を信じ、応援団(手前)を中心に生徒や保護者らが声援を送り続けた=阪神甲子園球場で2023年3月22日、皆川真仁撮影 拡大
常葉大菊川の逆転を信じ、応援団(手前)を中心に生徒や保護者らが声援を送り続けた=阪神甲子園球場で2023年3月22日、皆川真仁撮影

 序盤からリードされるなか、重苦しい空気を振り払おうとスタンドの応援団が動いた。「流れを変えるのが私たちの仕事」と古川夢奈団長(3年)。四回表2死一、三塁で2番の勝亦望向(2年)が打席に立つと、終盤の好機を彩る予定だった新曲「RUN UP KIKUKO」が聖地で初めて披露された。

 新曲は石岡監督の要望で、今大会に向け準備してきた。中高生15人の吹奏楽部が奏でるフルートやトランペットの軽快なメロディーに合わせて、生徒や保護者ら約500人が「勝利をつかめよ 菊高!」と声を張り上げた。吹奏楽部の大石凪紗部長(3年)は「勝ってほしいとの気持ちを乗せて、難しかった曲が今日はうまく弾けた」と話していた。

 勝亦は惜しくも中飛に倒れたが、大声援が届いたのか、先発の久保が五回から無四死球と復活を遂げた。母親の吏恵さん(43)は「序盤は心配したけど立ち直ってくれて良かった」と、ホッとした表情を見せた。

 スタンドには昨夏に新型コロナの集団感染で涙をのんだ野球部の卒業生も駆けつけた。前主将の長島颯汰さん(18)は「平出奏翔主将を中心に『先輩たちの分まで勝ち続けるんだ』と言ってくれて幸せだった。菊川らしい全力疾走はできていた」と、好投手を相手に奮闘した後輩たちをねぎらった。


 ■ズーム

先輩の背追い、攻守で成長 常葉大菊川・岩崎匠悟二塁手(3年)

常葉大菊川の岩崎匠悟二塁手=阪神甲子園球場で2023年3月22日、皆川真仁撮影 拡大
常葉大菊川の岩崎匠悟二塁手=阪神甲子園球場で2023年3月22日、皆川真仁撮影

 「すごく楽しかったです」。初戦で敗れたが、その表情はとても晴れやかだった。「甲子園史上最高の二塁手」と称された母校の先輩に憧れる球児が初めての聖地で躍動した。

 甲子園で好守備を連発し、常葉大菊川の2007年センバツ初制覇、08年夏の準優勝に貢献した町田友潤さん(33)に憧れ、その背中を追って野球部へ。1年秋の公式戦初スタメンはほろ苦かった。相手に決勝点を献上する失策を犯してしまい、センバツ出場の道が途絶えてしまった。

 ショックで打撃も不振に陥り、2年春、夏はベンチ外に。袋小路から抜け出そうと昨秋、守備でより積極的に声を出すよう心がけた。すると、守備のミスが減るとともに、良い当たりも増えていき、町田さんと同じ3番・二塁手で、レギュラーの座をつかんだ。

 この日は初回にチーム初安打を放つと、六回にも左前打。冬場にナインを激励に訪れた町田さんに教わったという足さばきを生かしつつ5度の守備機会を堅実にこなし、制球に苦しむ久保をもり立てた。攻守で成長を示し、「町田さんは遠い存在だけど、少しは近づけたかな。もっと近づいて、夏に甲子園に戻りたい」とはにかんだ。【皆川真仁】

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