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第95回センバツ高校野球

第95回選抜高校野球大会(2023年)の特集サイトです。

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頂戦・センバツ23報徳学園

支える人 元阪神選手・葛城育郎コーチ/大工大3年・安井龍玄さん /兵庫

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報徳学園のグラウンドで指導にあたる葛城育郎さん=兵庫県西宮市で、大野航太郎撮影 拡大
報徳学園のグラウンドで指導にあたる葛城育郎さん=兵庫県西宮市で、大野航太郎撮影

寄り添う指導で聖地へ 「できること、なんでも」 元阪神選手・葛城育郎コーチ

 センバツで23日に健大高崎(群馬)との初戦を迎える報徳学園。プロ野球・阪神で活躍し、甲子園のお立ち台で絶叫する姿が印象的だった葛城育郎さん(45)がコーチとして選手を支える。「できることはなんでもする」という献身的な指導で、チームを6年ぶりのセンバツへ導いた。

 「もっとボールを引きつけて」「グリップは傘を持つ感覚で」。秋季近畿大会の初戦で安打が出ず苦しんだ5番打者・辻田剛暉選手(3年)に葛城さんが声をかけ、翌朝からマンツーマンの練習が始まった。葛城さんは打撃投手を務めながら助言し、辻田選手は教えを体に刻み込むように連日バットを振り込んだ。

 翌週の準々決勝の履正社戦では3安打1打点と活躍し、チームも9―6で勝利。試合後、感謝を伝えにきた辻田選手を「良かったな」と笑顔で迎えた。続く準決勝の智弁和歌山戦でも適時打を放ち、葛城さんは「頑張りが報われてほっとした」と語る。

 葛城さんは立命館大を経て、1999年にドラフト2位でオリックスに入団。2004年に阪神に移籍し、08年にプロ初のサヨナラ打を放った後、お立ち台で叫ぶ姿が代名詞となった。11年に現役を引退し、13年に西宮市内で鶏料理店「酒美鶏(さけびどり) 葛城」をオープン。立命館大の後輩で、寮生活を同室で過ごした大角健二監督(42)から要請を受け、21年春に報徳学園のコーチに就任した。

 辻田選手との練習期間は、深夜の閉店から休む間もなくグラウンドに通った。「センバツにつながる重要な試合。しんどくても自分にできることをしたかった」と振り返る。

 指導者としては初めての甲子園。「まさかこんな形で戻るとは。選手たちには感謝だね」と笑顔を見せ、「一戦一戦全力で支えたい」と力を込める。【大野航太郎】

選手の相談役に 大工大3年・安井龍玄さん

後輩たちを見守る安井龍玄さん=兵庫県明石市の明石トーカロ球場で、大野航太郎撮影 拡大
後輩たちを見守る安井龍玄さん=兵庫県明石市の明石トーカロ球場で、大野航太郎撮影

 報徳学園野球部OBとして選手目線でチームを支えているのは大阪工業大3年の安井龍玄さん(20)だ。葛城さんの店でアルバイトをしながら練習を手伝う。

 高校時代は試合になかなか出られず、3年の夏に控えの二塁手としてベンチに入ったが、新型コロナウイルス禍で大会が中止に。早朝から練習に励み、試合がなくなっても努力を続ける姿を見ていた大角監督にチームを手伝うよう頼まれた。

 「自分たちは最後まで腐らず、励まし合い、後輩たちに夢を託した。センバツ出場が決まった時は、自分のことのようにうれしかった」と語る。

 選手たちと年の近い安井さん。「監督や他のコーチに言えない悩みを聞くのが仕事」と話し、自ら練習に参加しながら選手と会話する。近畿大会ではミスをした選手を励ましてきた。「選手たちが持っている力を出せるよう、全力で支えたい」とセンバツに挑む。【大野航太郎】

〔神戸版〕

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