「ツケが一気に」東芝、買収受け入れ 国内ファンドに再建託した背景
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東芝が日本産業パートナーズ(JIP)の買収提案を受け入れた。経営を厳しく監視し、改善要求を突きつける「物言う株主」の圧力にさらされ、外部から再建策を募る異例の事態は、国内ファンドに再建を託すことで決着した。2015年に発覚した不正会計問題から引きずるガバナンス(企業統治)の機能不全を克服し、新たな株主のもとで生まれ変わることはできるのか。
「仕事があって働けるなら上場廃止になってもいい」
東芝の従業員からは非上場化をやむを得ず受け入れる声が目立つ。長年、株主から合理化や再編を迫られ、トップが次々に交代するなど極めて不安定な経営が続いてきた。「上場が維持されたら株主の構成は変わらない。彼らの『出口』(株売却の機会)を探せなくなってしまう」。海外投資ファンドから早く逃れたい東芝側の本音を従業員が代弁する。
JIP陣営の買収によって物言う株主の影響下から約5年ぶりに脱することになる。外資による支配の伏線は、東芝の不正会計問題までさかのぼる。
東芝はかつて日本を代表する電機メーカーだったが、08年のリーマン・ショック後の構造改革で日立製作所などに後れを取った。経営側は利益至上主義に走り、「チャレンジ」のかけ声のもと、各事業部門は利益を水増しするなどの不正を繰り返した。
不正会計が明るみに出た2年後の17年には、数千億円を投じて買収した米原発子会社で巨額の損失を計上し、債務超過に陥った。その際、東芝が募った約6000億円の増資に、多くの海外ファンドが名を連ねた。東証2部(当時)に降格となったが、トップのすげ替えや白物家電、医療、半導体メモリーといった主力事業の売却で危機をしのぎ、21年には1部(同)復帰を果たした。
だが東芝は今回、買収提案を受け入…
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