インフレ抑制と金融不安解消、両にらみのFRB SVBの特殊性強調
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銀行破綻に端を発した信用不安が拡大するなか、米連邦準備制度理事会(FRB)が0・25%の利上げに踏み切った。一時は利上げを見送るとの観測も浮上したが、インフレ抑制を重視する姿勢を改めて明確にした。信用不安が沈静化していない中でのインフレ退治は、果たしてうまくいくのか。
「この銀行の経営陣はひどい間違いを犯した。金利上昇リスクなどに対応していなかった」。パウエル議長は会合終了後の記者会見で、10日に経営破綻した全米16位のシリコンバレー銀行(SVB)を批判した。SVBは、預かった資産のほとんどを米国債で運用。さらに、政府の預金保護の限度額を超える預金の割合が9割を占める特殊な経営構造だった。パウエル氏はSVBのそんな特殊性を強調し、「銀行システム全体に存在する弱点ではない」と話した。
だが、そもそもSVBの破綻の背景には、FRBが急ピッチで進めてきた利上げがある。SVBは急激な利上げで保有する国債が値下がりしたところに、景気悪化で預金者の預金引き出しが重なり、資金繰りが悪化した。
利上げで保有する国債の含み損を抱えた金融機関は多く、「他の中小金融機関でも同様の事態が起きる」(大手行幹部)との不安から、中小銀行で預金引き出しが相次いだ。12日には全米29位のシグネチャー銀行が連鎖破綻。全米14位のファースト・リパブリック銀行の株価が暴落するなど余波が続いており、不安を鎮めるため「利上げを一時停止する必要がある」(米連邦預金保険公社のベアー元総裁)といった声も出た。
それでもFRBが利上げに踏み切ったのは、インフレ率がいまだFRBの目標とする2%を大きく上回っているからだ。
米国の2月の消費者物価指数は前年同月比6・0%上昇と、依然高い水準だ。人手不足に伴う賃金上昇などインフレ圧力は収まっておらず、…
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