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佳作ドラマ「リバーサルオーケストラ」 音楽と音楽家への敬意ふんだん=碓井広義

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 桜が咲き、冬ドラマにも幕が下りた。印象に残った作品を振り返ってみたい。まず、「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系)というドラマ史に残りそうな傑作が生まれたことに拍手だ。何度も生き直すヒロイン(安藤サクラ)を通じ、「一度きりの人生」のいとおしさを伝えたバカリズムの脚本が見事だった。

 今期は「星降る夜に」(テレビ朝日系)の大石静、「夕暮れに、手をつなぐ」(TBS系)の北川悦吏子といったベテラン脚本家が登板した。だが両作とも強い吸引力があったとはいえない。「星降る」の産婦人科医(吉高由里子)と聴覚を持たない遺品整理士(北村匠海)。「夕暮れ」でファッションデザイナーとなるヒロイン(広瀬すず)と音楽家の青年(永瀬廉)。彼らは物語の中での実体化が不十分で、恋愛も仕事も脚本家の「都合」だけで動かされているように見えたのが残念だ。

 一方、意外な佳作もあった。久しぶりに登場した音楽ドラマ「リバーサルオーケストラ」(日本テレビ系)だ。リハーサルならぬ「リバーサル」とは逆転や反転を意味する。元天才バイオリニスト・谷岡初音(門脇麦)が、優秀だが毒舌家の指揮者・常葉朝陽(田中圭)と共に地方の崖っぷちオーケストラを再生する物語だった。

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