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第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第7日の25日、作新学院は英明(香川)と対戦し、逆転に次ぐ逆転のシーソーゲームを演じ、9―8で勝利した。センバツの8強入りは2000年以来、23年ぶり。次戦は大会第10日第1試合(28日午前8半予定)の準々決勝で、光(山口)と山梨学院(山梨)の勝者と対戦する。【井上知大、竹田直人】
作新学院が昨秋の四国王者・英明との乱打戦を制し、逃げ切った。
1点をリードされて迎えた八回表、連打などで無死満塁の好機を作ると、東海林智が右前に2点適時打を放って逆転に成功。父光泰さん(67)は「重苦しい雰囲気だったけれど、いい場面で打ってくれた。自分の息子ではないみたいだ」と破顔した。1死二、三塁となって、塙綸ノ亮の左前適時打でリードを3点に広げた。塙は22日に17歳の誕生日を迎えたばかり。宿舎でチームメートから祝福されたと、父貴夫さん(44)は本人から聞いていたといい「息子は、仲間やたくさんの人に支えられている。感謝の気持ちで打てたのだと思う」としみじみ話した。
終盤の逆転で作新学院の応援席は「このままいけるぞ」という雰囲気に。ところがその裏、諦めない英明打線の猛攻で4点を失い逆転された。
それでも作新学院ナインに下を向く選手はいなかった。
「ここからは執念だぞ」。小針崇宏監督の一声で始まった九回表の攻撃は、斎藤綾介が四球で出塁し、1死一塁に。続く武藤匠海が鋭くバットを振り抜くと、打球は左翼席へ吸い込まれた。父義行さん(48)は「感無量です。前の打席まで凡打が続いていたので、『次につないでくれれば』と思っていたが、まさかホームランなんて。感無量です」と喜んだ。
九回裏、最後の守備もピンチが続いた。1死二塁となってマウンドを託されたのは右腕の福冨竜世。1人目の打者を遊ゴロに打ち取るが、次の打者に四球を与え2死一、三塁に。応援席にいるナインの両親らは、胸の前に手を組んでグラウンドを見つめる。
1球ストライクが入るごとに「よし」と声が漏れる中、最後の打者を三ゴロに打ち取った。福冨の母千絵さん(41)は「ハラハラして見ていられなかった。『一番輝いていたよ』と伝えたい。この経験は本人にも自信になったと思います」と目を真っ赤に腫らしていた。
演奏で選手後押し
○…一塁側アルプススタンドには生徒や保護者ら約520人が駆けつけ、懸命の声援を送った。2022年の東関東吹奏楽コンクールで金賞受賞の吹奏楽部も力強い演奏で選手を後押し。定番の「サウスポー」や「紅」のほか、アップテンポにアレンジした「栃木県民の歌」などレパートリーは50曲以上に及ぶ。スタンドには次に演奏する曲を示すボードがうずたかく積まれていた。甲子園で演奏したくて作新に入ったという部長の渡辺実音さん(17)は「演奏に合わせて歓声が上がり、迫力がある。野球部のみんなにはたくさん勝ってもらい、この素晴らしい場所を多く経験したい」と笑顔だった。
■ズーム
初球から積極的に 作新学院・東海林智外野手(3年)
七回表に反撃の口火を切る中前打で出塁し、後続の適時打で本塁を踏み、八回表には2点適時打を放ちチームを逆転に導いた。
打ったのはいずれも初球の直球だ。「初球は甘い球が来やすい。そこを積極的に打つ」。そう考えて打席に入った。特に八回の逆転打は、英明の横手投げの主戦投手からだ。「ボールが下から来るように見える。フライにならないよう、たたきつけるように強い打球を打てた」と冷静さも忘れなかった。
背番号は二桁の「13」だが今大会はスタメン出場が続く。「いつ起用されてもいいよう常に準備はしてきた」。初戦の大分商戦では「やってやろう」と気合が入った。2安打2打点と活躍し、英明戦でも結果を残した。
入学直後に腰を疲労骨折。仲間に差をつけられると焦りが募ったが、ノックの補助役や仲間のドリンクを作る役回りを買って出てチームを見渡せるように。そして、プレーできるありがたさを誰よりも知った。
この日も「全員でつかみ取った勝利」を強調。次戦に向け「8強の試合は初回から三回までの序盤が勝負。全員野球で頑張りたい」と晴れ晴れとした表情で語った。【井上知大】
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