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第95回センバツ高校野球

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センバツ高校野球 東邦、逆転で16強 歴代最多58勝に歓喜 /愛知

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【東邦-高松商】高松商を破り、アルプス席の応援団へあいさつに向かう東邦の選手たち=阪神甲子園球場で2023年3月25日、平川義之撮影 拡大
【東邦-高松商】高松商を破り、アルプス席の応援団へあいさつに向かう東邦の選手たち=阪神甲子園球場で2023年3月25日、平川義之撮影

 第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第7日の25日、東邦は高松商(香川)に6―3で快勝し、16強入りを果たした。センバツ勝利数は58となり、同じ愛知の中京大中京と並んで最多となった。二回に先制点を許す展開となったが、打撃陣は四回に大島善也(2年)らの3連打で逆転。六回には岡本昇磨(3年)のソロ本塁打などで突き放した。投げては先発の山北一颯(3年)が6回を1失点、リリーフの岡本が被安打2、4奪三振と好投した。次戦は大会第9日第3試合(27日午後1時半開始予定)で8強をかけて報徳学園(兵庫)と戦う。【森田采花、安徳祐】

 天候不良による順延でこの日に2回戦を迎えた東邦。週末ということもあり、一塁アルプス席は多くの東邦応援団が詰めかけた。

 1点を追う四回1死。大島善也(2年)からの3連打で一気に2得点して逆転した。同点の二塁打を放った真辺麗生(3年)の父・健吾さん(48)は「これ以上なくうれしい。初打席は打てなかったけど2打席目は打ってくれると思っていた」と喜んだ。

 攻撃の勢いは止まらない。五回は三浦天和(2年)が右中間に抜ける二塁打で出塁し、山北一颯(3年)の右前適時打で3点目のホームを踏んだ。三浦は右手のけがなどで初戦は出場の機会がなかったが、大一番での活躍に祖父の勲さん(78)は「胸がいっぱい。けがのないよう次も打ってほしい」とエールを送った。

 六回に岡本昇磨(3年)がソロ本塁打を放つと、球場のボルテージは一気に上がった。母・直子さん(48)は「びっくりした。『甲子園で絶対ホームランを打ちたい』と話していたのでうれしい」と声を弾ませた。

 高松商も粘り、七回裏に2点を献上。1点差に迫られたが、再び打撃陣が援護する。八回2死から石川瑛貴主将(3年)が右前二塁打で出塁し、藤田悠矢(3年)が代走に。続く岡本の中前打と敵失の間に、藤田が50メートル6・0秒の俊足を生かして生還した。

 石川が八回に放った二塁打はこの日3本目。父・尋貴さん(51)は「日ごろの成果が出ている。この調子で楽しんでやってくれれば」と目を細めた。

 九回も1死から代打の中島快(3年)が左前二塁打で出塁。中村騎士(3年)の左前適時打で6点目を挙げ、試合を決めた。

 投げては先発した山北が6回を1失点に抑える熱投で役目を果たした。リリーフした岡本が最後の打者を三振に仕留め、センバツ58勝目の最多タイ記録を達成した瞬間、一塁アルプス席は歓喜の渦に包まれた。

 東邦は次の戦いでセンバツ単独最多勝利を目指す。

公式戦初の本塁打

 ○…六回1死で走者なし。「とにかく振っていこう」と打席に入った岡本昇磨(3年)が甘く入ってきた変化球を振り抜くと、打球は右翼フェンスを越えた。公式戦初の本塁打にガッツポーズをしてダイヤモンドを駆け抜けた。七回からはリリーフとしても登板し、投打で16強入りに貢献した。「めちゃくちゃ気持ちいいです。次戦もここぞで打ちます」と意気込んだ。

人形に祈りを込め

人形を手作りしたマネジャーの小野田愛純さん(右から2人目)ら=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2023年3月25日、森田采花撮影 拡大
人形を手作りしたマネジャーの小野田愛純さん(右から2人目)ら=兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2023年3月25日、森田采花撮影

 ○…アルプス席では東邦の野球部員らが野球少年をモチーフにした人形を首からぶら下げて声援を送った。人形は9人の東邦マネジャーが選手や監督ら約60人分を約2週間かけて丹精込めて作り、甲子園出発前に全員に配った。「TOHO」と刺しゅうされたチームのユニホームを再現している。小野田愛純マネジャーは「全国制覇の祈りを込めて作った。この人形を見てみんなが応援していることを忘れないでいてほしい」と選手たちのプレーを見守った。


 ■ズーム

「背番号10」大舞台で輝く 東邦 山北一颯投手(3年)

東邦の山北一颯投手 拡大
東邦の山北一颯投手

 いつもはリリーフの背番号10が、甲子園の大舞台で初めて先発を任された。

 6回87球を投げ、被安打7、失点1と粘り強さを見せた。「チームが勝てたのでオッケー。打たせて取る投球を意識し、テンポ良くアウトを積み重ねられた」と手応えを口にした。

 189センチの高身長を生かした角度のある投球が持ち味。父・茂利さん(45)は中日や横浜などで通算208試合に登板した元プロ野球選手。茂利さんも191センチと高身長で「和製ランディ・ジョンソン」と呼ばれていた。

 中学までは偉大な父の存在に重圧を感じていた。自分でも驚くほど負けず嫌いといい、「比べられて悔しい思いをしたこともある」。だが、東邦に進学して吹っ切れた。「自分のピッチングを見つければいい」

 コーチ陣の指導以外にも、プロ野球選手の投球動画を参考に試行錯誤を重ねるなど貪欲だ。茂利さんから投球に関するアドバイスを受けた記憶はない。「何も言わないからオッケーということだと思う」と理解している。

 そんな息子の投球を、茂利さんは一塁アルプス席で見守った。「粘り強い投球ができている。持ち味が出てる投球だ」とたたえた。

 「次も先発で投げる機会があればチームの勝利に貢献したい」。大舞台での初先発に結果を残した。次のマウンドが待ち遠しい。【森田采花】

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