黒人伝統の髪形は校則違反? 隔離された卒業生「返事もできず」
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兵庫県姫路市の県立高校が2月に開いた卒業式で、3年の男子生徒(18)=当時=が髪形を理由に卒業生用の席に着席することを認められなかったことが判明した。
「友人との3年間を締めくくる思い出づくりができなかった」。黒人である父のルーツを踏まえた髪形だったが、学校側の答えは「校則違反」。多様な背景を持つ子どもが増える中、専門家は「子どもを抑え付けるのではなく人権尊重を」と呼び掛けている。
教師「校内から出てくれ」
生徒は卒業式を「特別な日」と考え、巻き毛である髪質でも整って見えるよう髪を編み込んだ。「コーンロー」と呼ばれ、アフリカにルーツを持つ黒人文化の伝統であることをインターネットで調べ、父親からも話を聞いていた。
父親によると、コーンローは自分たちの髪質のままで清潔感のある髪形として、米国では黒人の子どもや女性にも浸透している。
だが、学校側は認めず、生徒を他の生徒がいない2階席に隔離。名前を呼ばれても返事しないように念押しした。生徒は「式にいる意味がない」と考え、両親とともに式の途中で帰宅した。
生徒はその後、卒業証書や記念品を受け取るため、制服姿で学校に戻った。その際も他の生徒のいない部屋に通され、トイレに行くときにも教師が付いてきた。
卒業証書などを受け取った後、校内で友人を待っていると、教師から「校内から出てくれ」と言われた。生徒は「『おまえの特別な日じゃない』と言われているようで悔しかった。(髪形は)父のルーツであり、黒人としての文化なのに」と振り返る。
校則に明記なし
息子の晴れ舞台を楽しみにしていた両親も学校の対応に疑問を投げかける。式当日、両親は「息子さんの髪形では参加させられません」と教頭から説明を受けた。理由を尋ねても、教頭は「本人はルールが分かっているはずだ」と繰り返すばかりで、明確な根拠を示さなかった。
同校の校則は髪形について「流行にとらわれず、あくまでも高校生らしい清潔なもの」と規定。男子は「目や耳、襟にかからない」との基準がある。染色や脱色、ドライヤー加工などを禁じているが、編み込みについては明記していない。
毎日新聞は、生徒の髪形のどの点が違反していたか質問したが、教頭は「今まで指導してきたのと違うということだ」と回答するだけだった。その上で、「伝統的髪形を否定しているわけではなく、髪質に応じた指導をしてきた。別の場所で出席させるということで、生徒が卒業式に出席できなかったわけではない」と話した。
増える海外ルーツの子、米国では差別禁止法も
生徒の父は米ニューヨーク出身の研究者。母は日本人で、米国を訪れた際に父と知り合い結婚した。生徒は中国生まれで…
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