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部活クライシス

学校教育の一環とされてきた部活動。教員の長時間労働や少子化などを背景に、従来の活動が成り立たなくなりつつあります。

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改革集中「3年間」、突然の後退 霞が関で一体何が起きたのか

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運動部活動の地域移行に関する検討会議から提言を受け取る室伏広治スポーツ庁長官(右)。約半年後、「3年間」の改革集中期間は消えた=東京都千代田区の文部科学省で2022年6月6日午、吉田航太撮影
運動部活動の地域移行に関する検討会議から提言を受け取る室伏広治スポーツ庁長官(右)。約半年後、「3年間」の改革集中期間は消えた=東京都千代田区の文部科学省で2022年6月6日午、吉田航太撮影

 公立中学校の休日の部活動を地域の民間クラブなどに委ねる「地域移行」は、2023年度から3年間で集中的に実施される予定だった。ところが、文部科学省は昨年12月、この目標を後退させ、期間内の達成にはこだわらないとした。「霞が関」では一体、何が起きていたのか。

3ケタないと本気度示せない

 文部科学省は、少子化への対応や顧問を担う教員の負担軽減など公立中の部活動を巡り、待ったなしの改革を迫られている。早期の地域移行に向け、当初は100億円規模の関連予算を積み上げることで改革に対する姿勢をアピールしてきた。だが、担い手となる自治体から「受け皿不足」を訴える声が相次ぎ、「3年間で地域移行」の旗を事実上降ろさざるを得なくなった。

 「今が最大のチャンスであり、最後のチャンス」。部活改革の方策を考えるスポーツ庁の有識者会議が昨年6月、地域移行の道筋を示した提言はこんな言葉で締めくくられていた。

 公立中の部活では、少子化で活動に必要な人数がそろわないことも珍しくなく、顧問の業務は、長時間の残業が常態化している教員の「働き方改革」を阻む要因にもなっていた。事態を放置すれば、子供がスポーツや文化に触れる機会が奪われるだけでなく、教員のなり手不足も加速しかねないとする関係者の危機感が表れた一文だった。

 スポーツ庁と文化庁の二つの有識者会議は、2023年度からの3年間を「改革集中期間」に設定。休日の運動部・文化部の指導を、教員以外の人材が担える体制の構築を提言した。

 文科省は、提言を受け23年度予算の概算要求に関連経費118億円を計上。自治体と、受け皿となる運営団体などとの調整役を担うコーディネーターの配置事業などを盛り込んだ。省内では当初、数十億円規模の予算も検討されたが、改革の初年度を迎えるにあたり「3ケタはないと、内外に本気度が示せない」(同省幹部)として、100億円規模の金額を積み上げた。

 だが、移行案の実現を急ぐ文科省に対し、…

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