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第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第9日の28日、東邦は報徳学園(兵庫)に延長十回の末4―5でサヨナラ負けし、8強入りを逃した。センバツの勝利数は58にとどまり、最多勝利の更新は来春に持ち越しとなった。東邦は四回までに4点を奪われ劣勢が続いていたが、再三の好守備と粘りで七回には同点に追いついた。チャンスの場面では代打や代走で勝負を仕掛けるなどまさに総力戦で戦い抜いた。【森田采花、野原寛史】
ともにセンバツ優勝経験がある名門同士の接戦は延長戦までもつれた。今大会から始まった「延長十回からのタイブレーク」が勝負を分けた。
4―4で迎えた延長十回、東邦の攻撃。無死一、二塁から始まるタイブレークで、この回先頭の中村騎士(3年)がきっちりと犠打を決める。1死二、三塁でこの日2安打の大島善也(2年)や3番の真辺麗生(3年)に期待がかかったが、いずれも倒れ、無得点に終わった。
その裏の報徳学園の攻撃。東邦は1死二、三塁から満塁策を取ったが、これまで粘投してきた岡本昇磨(3年)の61球目が相手の6番打者にはじき返され、サヨナラ負けを喫した。
この日はエース宮国凌空(3年)が先発。初戦の鳥取城北(鳥取)戦でも先発したが、中盤に制球を乱すなど崩れた。2回戦の高松商戦では登板せず、満を持して登場した。父・修さん(48)は「緊張なく投げられている。全力で投げてくれれば」と祈るようにアルプス席から見守った。
宮国は一回から走者を背負うピッチングを強いられ、二回には1死一、二塁のピンチを迎える。続く相手打者の左前安打で、二塁走者が本塁を狙ったが、左翼藤江壮太と遊撃手大島の2年生コンビによる鮮やかな中継プレーで得点を阻止。その後、失点したが、右翼を守る岡本の好返球で、最少失点で切り抜けた。
選手たちを学校からグラウンドまで毎日送迎するバス運転手の杉田智也さん(45)は「宮国の球に球威が感じられない。打たれちゃうかも」と不安な表情を浮かべた。
2点を追う四回2死一、二塁。岡本の中前打で1点を返した。岡本の母・直子さん(48)は「まずは1点返してくれてほっとした」と手をたたいて喜んだ。
だが、ゲームの主導権は変わらず、その裏は本塁打を含む4本の長短打で2点を献上した。主将の石川瑛貴(3年)の父・尋貴さん(51)は「まだ残り半分ある。あと5点は入れますよ」と周囲を励まし、木下達生コーチも「想定内。うちのペース」と話した。
3点リードされた七回。先頭岡本の二塁打などで無死一、三塁となり、南出玲丘人(3年)の適時打と代打伊藤秀樹(3年)の内野ゴロで2点を挙げ、中村騎士(3年)の内野安打で同点に。中村の父・健人さん(43)は「うれしい。チームに貢献できた」と声を弾ませた。
九回も1死二塁から中前打を放たれたが、中堅手の上田耕晟(3年)の好返球で本塁を狙った走者をアウトにした。再三の好守備と東邦らしい粘りにアルプス席は「よく頑張った」とねぎらいの声と拍手であふれた。
的確な分析で貢献
○…ベンチ入りを逃した11人の部員たちが対戦校の的確な戦力分析でチームを支えた。対戦校の動画で、投手の癖や配球、打者の打球傾向などさまざまな情報を収集し、ミーティングなどで共有してきた。報徳学園戦に向けては4日間ほど費やしたという。試合では、劣勢を強いられる場面もあったが信田煌瑛(3年)は「データを意識して打ったり守ったりしてくれている。この調子で頑張ってほしい」と一塁アルプス席からエールを送っていた。
■ズーム
夏、必ず戻ってくる 石川瑛貴主将(3年)
時代をつなぐ勝利はつかめなかった。父・尋貴(ひろたか)さん(51)の時代は「平成最初」1989年のセンバツで優勝し、兄でプロ野球中日の内野手・昂弥さん(21)は「平成最後」2019年の優勝を飾っていた。「自分は令和初の優勝を」と意気込んで今大会に挑んだが、届かなかった。
幼少期からボールやバットで遊んでいた。小学生の頃は尋貴さんや昂弥さんとキャッチボールをしてから登校するのが日課だった。「気づいたら野球がそこにあって、一番なじみのあるスポーツだった」
野球にのめり込んだ分、けがも多かった。病院に行く度に「もう野球ができなくなるかもしれない」という恐怖と戦った。尋貴さんも「続けさせるのがかわいそうだと思ったこともある」という。
だが、一度も野球を辞めたいと思ったことはない。けがをする度に「野球だけが全てじゃない」という尋貴さんの言葉に励まされてきたからだ。「他にも選択肢はあると思う。でもそう思えば思うほど野球がいい」と何度もはい上がってきた。
歴史的勝利は惜しくも逃したが、まだ夏もある。「1点差を勝ちきる強さを身につけてまた甲子園に戻ってきたい」。泥まみれの背番号3は気持ちを新たに聖地を後にした。【森田采花】
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