「ごきぶりホイホイ」50年 粘り強~い人気で世界へ羽ばたく
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害虫駆除のロングセラー「ごきぶりホイホイ」が、発売から50年の節目を迎えた。この20年間で海外での販売比率が3割に伸び、「HOYHOY」の名で約30カ国に羽ばたく。半世紀の間、一手に生産してきた瀬戸内海沿いの工場を訪ね、粘り強い人気の秘訣(ひけつ)を探った。
唯一の生産ライン、人力で調整
リズミカルな機械音が響く中、ベルトコンベヤーで台紙が次々と運ばれてくる。ラインを通過すると台紙には粘着剤が付けられ、折りたたまれ、瞬く間に見覚えのある「家」の形が出来上がった。
「ここは会社のマザー工場の中のマザー職場です」。兵庫県赤穂市のアース製薬坂越(さこし)工場。同社生産本部長の久保浩之さん(58)が力を込めた。「マザー」と呼ぶのは、同社が培ってきた技術の粋を集めた工場という自負だ。
台紙に折り目をつける4台の成型機(折機)のうち2台は1977年から稼働。電子制御ではなく、社員がネジを締めて細かな調整をしている。毎日、チェーンや歯車に油を差し、年1回はクリーニングや総点検をして大切に使ってきた。
現在本社があるのは東京だが、創業は大阪。91年までは坂越工場が本社所在地だった。ごきぶりホイホイの発売は73年3月。それまではハエや蚊の殺虫剤などを製造していたが経営が厳しく、起死回生を狙った商品だった。
坂道で「逃走」防止
従来、ゴキブリの駆除はプラスチック製容器に誘い込み、容器ごと水に沈めるのが一般的だった。ただ、その方法では死んでいくゴキブリを見る心理的負担が重かった。
同社は昆虫採集に使われていた粘着性のトリモチに着目。紙の箱に誘い込んで…
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