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(名古屋大学出版会・9680円)
聖人化先駆け、西欧で受容の背景
本書の題名から連想するのは、遠藤周作の小説『沈黙』やM・スコセッシ監督の映画ではないだろうか。イエズス会の宣教師が信者の迫害に直面し、一方では命を落とし殉教者になり、他方では棄教者の道を歩む場合があった。一神教文明の世界で育った人々は論理には絶対といえるほど自信をもっているという。だが、この作品では長崎奉行の説得力が勝っており、欧米人は愕然(がくぜん)とするらしい。
ところで、「かくれキリシタン」として名高い戦国末期・江戸初期のキリスト教信者をめぐって、世界はどう見ていたのだろうか。近世の日本は「殉教」の聖地であるとともに暴虐の国として理解されていたという。
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