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九回表2死、山梨学院の守り。相手の飛球がセンター、星野泰輝(たいき)選手(3年)のグラブに収まった。山梨県勢として春夏通じて甲子園を初めて制覇した瞬間だ。「やったー」「よっしゃー」「日本一だー」。一塁側アルプス席を歓喜の大波がうねった。その星野選手のグラブには、目指す甲子園を失った兄の桂汰さん(20)の特別な思いがこもっていた。
長野県内の大学に通う桂汰さんは元高校球児。実家のある静岡県の星陵高で捕手をしていたが、3年だった2020年の春と夏の甲子園大会は新型コロナ禍で中止になった。星野選手が2年前に実家を出て山梨学院の寮に入る時、桂汰さんは水道設備会社でアルバイトをしてためたお金で買った高級なオーダーメードグラブを弟に贈った。
「自分は完全燃焼できなかったが、泰輝は競争の激しい強豪校に行く。力になりたかった」
星野選手はセンバツで攻守にわたって活躍し、この日の決勝でも勝ち越し適時打を放った。スクールカラーの鮮やかなブルーに染まるアルプス席で応援し続けた桂汰さんは「泰輝は堂々とプレーしている。自慢の弟です」と笑顔を見せた。グラブを贈る時には「挑戦」と刺しゅうしてもらった。星野選手は「このグラブのおかげで、誰よりもチャレンジャー精神を持てる」と感謝している。

山梨学院は、中止になった20年センバツに選出されていた。当時、涙にくれたOBたちもこの日、春風の下で後輩たちの快挙を見守った。
河瀬貴洋さん(20)は「あの頃は『俺たちの甲子園はどこにいった』と落ち込んだ。練習にも身が入らなくなった」と振り返る。「この盛り上がりは経験したことがない。後輩たちが最高の景色を見せてくれた。山梨学院に入ってよかった」と大興奮。外川温大(とがわ・はると)さん(20)は、大声援に包まれる甲子園を見渡して「応援のおかげで普段出ないような力を発揮して、後輩たちは勝ち進んできたのでは」と喜んだ。
絶対的エースとしてマウンドを守り続けた林謙吾投手(3年)の父の永浩(ながひろ)さん(48)は「疲れはたまっていただろうが、バックのみんなに助けられて投げきってくれた。とんでもないぜいたくな思いを味わわせてもらった。『よくやった』と声をかけてやりたい」と目を潤ませていた。【竹田直人、野原寛史】
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