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第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)に出場した報徳学園は1日、決勝で山梨学院(山梨)に3―7で敗れた。先制したものの五回に7点を奪われ逆転を許し、反撃は及ばなかった。21年ぶり3回目の優勝を目指し、逆転やサヨナラ勝ちを重ねてきた地元の選手たちに、場内からは惜しみない拍手が送られた。【大野航太郎、来住哲司、喜田奈那】
4点差で迎えた九回2死、8番・竹内颯平(3年)の打球がセンター方向に高く上がると、アルプススタンドの野球部員たちは祈るような目でボールの行方を追った。打球は相手選手のグラブに収まり、試合は終了。スタンドは一瞬沈黙したが、やがて選手たちの健闘をたたえる大きな拍手が湧き起こった。
野球部員約70人をまとめ、名物の応援「アゲアゲホイホイ」で球場を盛り上げた野球部員の大崎元輝さん(同)は「最後まで一丸になって応援できた」と大会を振り返った。ベンチに入れなかった副主将の宮川叶亜さん(同)は「選手たちには感動をありがとうと言いたい。次こそは自分がグラウンドに立つ」と意気込んだ。
開会式で校名が書かれたプラカードを持ち、先頭に立って行進したマネジャーの山本航大さん(同)は拍手を送ると、「悔しい」と枯れた声を漏らした。「夏に日本一に届くよう、選手たちを支えていきたい」と前を向いた。
閉会式で、準優勝旗を手にグラウンドを一周する選手たちに、いつまでも熱いまなざしが注がれた。
Vメンバー集結
○…三塁側アルプス席には報徳学園が第74回大会(2002年)で優勝した時のメンバー4人が駆けつけた。当時三塁手の石井孝一(38)▽左翼手の橋本健吾(38)▽右翼手の前山優(38)▽控えの平尾泰彦(38)――の各氏。全5試合で安打を放った前山さんは21年前の優勝メダルを首にかけ、「僕たちの優勝後、報徳学園は甲子園に何度も来ながら決勝進出はなかった。ようやくこの舞台に上がってきた。新たな歴史の一ページを作ってほしい」と応援した。健闘及ばず逆転負けした後輩たちに「残念だったが、この敗戦を課題にして、また甲子園に戻ってきてほしい」と呼びかけていた。
前監督も称賛
○…報徳学園の選手、監督として甲子園で優勝し、現在は日大三島(静岡)の監督を務める永田裕治さん(59)は「サヨナラ勝ちするなど勢いに乗っており、そのまま優勝すると思っていた。声出し応援も解禁され、選手たちはものすごいパワーをもらったと思う。報徳時代の教え子である大角監督らはよく頑張った。また頂点を目指してほしい。私も静岡から甲子園に行けるよう精進する」と語った。
「負けないチーム作る」小野・北垣監督
小野(小野市)の北垣賢高監督(47)は練習の合間に試合を確認した。報徳学園の大角健二監督と同じ立命館大出身で親交がある。「長年結果が出なくてしんどい思いをしてきただろうが、やっと花が咲いたのでは」と、準優勝に導いた手腕をたたえた。
小野は21世紀枠近畿地区候補校に選ばれ、今大会出場に期待がかかっていた。落選が悔しく、「(大会を)あまり見たい気持ちにはならなかった」が、報徳学園の戦いには注目してきた。「2年生投手もよく投げた。守備が堅く、ミスしてもみんなでカバーし合っており、本当にいい野球をしていた」と話す。
夏に向けて、「日本一の目標は残っているので頑張ってほしい。私も兵庫大会で報徳に当たるまで負けないようなチームを作り、チャレンジしたい」と意気込んだ。【喜田奈那】
■熱球
「タイタンズ」で結束 石野蓮授(3年)
「タイタンズ!」。5点を追う八回1死一、三塁、仲間と合言葉を叫び、打席に入った。「良い投手だからこそ、打ちたい」。熱投を続ける相手の林謙吾(3年)を前に、自然と笑みがこぼれた。低めの直球をはじき一ゴロに倒れたが、1点を返した。
大会前、チームで米国映画「タイタンズを忘れない」(2000年)を鑑賞。アメリカンフットボールチームが人種を超えて活躍する話に感動し、窮地に使う合言葉を「タイタンズ」と決めた。「下級生の頃にみんなで見て、大会前にも見直した。僕たちの根底にはあの映画がある」と語る。
今大会では4番打者として5打点の活躍を見せた。初戦の健大高崎戦では母の春代さん(50)に「ホームランを打つ」と約束し、有言実行。日本一には届かなかったが、春代さんは「感動する試合を見せてくれてありがとう」と拍手を送った。
ピンチになっても、タイタンズのような結束力で、逆転やサヨナラ勝ちを収めてきた。「チャンスで打てる4番になりたい」。仲間とともに、さらなる成長を誓った。【大野航太郎】
〔神戸版〕
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