働けど…急増する非正規の過酷な現実 大規模緩和の功罪、検証なく
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政府・日銀は、「異次元」と称された大規模な金融緩和、そしてアベノミクスによって日本の雇用環境は大きく改善したとアピールする。就業者数や有効求人倍率など政府統計の結果からは、確かに雇用環境は持ち直しているように見える。実態はどうなのか。現場から見えてきたのは数字の裏に隠された過酷な現実だった。
シリーズ「検証・異次元の10年」は計5回です。
ラインアップは次の通りです。
第1回 資産バブル
第2回 増える非正規
第3回 失われた経験
第4回 「ゾンビ」のレッテル
第5回 地銀の悲鳴=7日午前7時公開予定
「昼食は毎日、パンだけ」
冬の寒さが残る2月中旬、東京・門前仲町にある深川公園を訪ねた。遊具で遊ぶ子供たちの元気な声が響く中、6人の高齢者が黙々とホウキでゴミを集めていた。
声をかけると、全員がアルバイトだという。朝8時から昼過ぎまで働き、月収は10万円程度。深川公園のゴミ拾いを終えると、すぐに別の公園に移動する。多い日には1日に5カ所以上を回り、空き缶や落ち葉など90リットルサイズのゴミ袋10個分以上を集める。
屋外での肉体労働は、高齢者にはきつい仕事に見える。しかし、長年この仕事を続けているという男性(77)は「やめるわけにいかないよ」と力なく笑った。「年金だけでは食べていけないからね。80代になっても仕事をしないと」
男性は長年、材木店で働いてきたが、10年ほど前に材木店の経営が悪化し仕事を失った。60代半ばで見つけたのが公園掃除のアルバイトだ。以来、雪の日も、猛暑の日も黙々とゴミを拾い続けてきた。
男性が公園掃除を始めたころ、…
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