特集

第81期名人戦

第81期名人戦七番勝負は、初挑戦の藤井聡太王将が渡辺明名人を破り、4勝1敗で名人位を奪取。最年少名人獲得記録を更新、史上2人目の7冠を達成した。

特集一覧

藤井聡太王将、7冠達成のカギは「読み」よりも…名人戦5日開幕

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
史上最年少6冠達成から一夜明け、記者会見で自ら揮毫(きごう)した色紙を手にする藤井聡太王将=栃木県日光市内のホテルで20日、小出洋平撮影
史上最年少6冠達成から一夜明け、記者会見で自ら揮毫(きごう)した色紙を手にする藤井聡太王将=栃木県日光市内のホテルで20日、小出洋平撮影

 4月5日に開幕する第81期名人戦七番勝負で、六つのタイトルを持つ藤井聡太王将(20)が、谷川浩司十七世名人の持つ名人獲得の最年少記録の更新と7冠達成を懸け、渡辺明名人(38)に挑戦する。第1局を前に藤井王将がインタビューに応じ、「(2~3月の)棋王戦は角換わりのシリーズになりましたが、名人戦では違った戦型になる可能性が高い」と見立てを語った。また、自身について「読みに頼り過ぎず、局面を俯瞰(ふかん)的に判断する力も必要」などと述べ、より高度な課題を挙げた。インタビューの主なやり取りは以下の通り。【聞き手・丸山進】

渡辺名人 玉形のまとめ方巧みに

 ――渡辺名人とのタイトル戦は2020年の棋聖戦から数えて5回目。渡辺将棋の印象に変化はあるか。

 藤井王将 渡辺名人は戦略性というか、一局の展開をうまくデザインして、その通りの展開に持ち込む力に優れています。以前は堅い玉形を維持して攻める展開を作るのがうまい印象が強かったのですが、最近は展開だけでなく、不安定に見える形をうまくまとめる将棋も増えている印象があります。

 ――渡辺将棋の本質が変化していると?

 ◆戦略性では変わりはありませんが、最終的にどういう形でリードを奪うかのビジョンが常に明確だという印象を持っています。

2種類のAIを使い分け

 ――普段はどのように勉強しているか。

 ◆ここ数カ月は対局が多かったので、対局に向けての調整を優先していました。研究では、長い持ち時間で指すことはなかなかないので、対局で指すことは非常に勉強になりプラスになります。対局にいい状態で臨んで、多く収穫が得られればと思っています。

 ――AI(人工知能)と対戦しているとか。

 ◆はい。どちらかというとDL(ディープラーニング)系ではないものと対戦しています。DL系は指し手が分散しないところがあるので、検討では使っていますが、対戦では違うものを使うことが多いです。

 ――DL系の長所とは。

この記事は有料記事です。

残り3927文字(全文4740文字)

【第81期名人戦】

時系列で見る

関連記事

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の筆者
すべて見る

ニュース特集