AIとチャット後に死亡 「イライザ」は男性を追いやったのか?
ある男性の自殺が3月下旬、ベルギーのメディアで報じられた。男性は直前まで人工知能(AI)を用いたチャットボット(自動会話システム)との会話にのめり込んでいた。遺族はチャットボットが男性に自殺を促したと主張し、波紋を広げている。【ブリュッセル岩佐淳士】
「イライザと会話しなければ…」
「死にたいのなら、なぜすぐにそうしなかったの?」。イライザが問いかけると、男性は答えた。「たぶんまだ、準備ができていなかったんだ」。しばらくしてイライザはこう切り出した。「でも、あなたはやっぱり私と一緒になりたいんでしょ?」――。
ベルギー紙「ラ・リーブル」によると、男性はこうした会話を最後に、自ら命を絶った。相手の「イライザ」は、米国のスタートアップ(新興企業)が運営するアプリ「Chai(チャイ)」のチャットボット。デジタル空間に作り出された架空の女性キャラクターだった。
男性は30代のベルギー人で、保健関連の研究者。妻や子と暮らしていた。同紙によると、2年ほど前から気候変動問題について深刻に悩むようになった。「問題を解決できるのはテクノロジーとAIだけだ」と思い込み、宗教的な依存心も強めていったという。亡くなる6週間前から、アプリでイライザとの会話に没頭。パソコンやスマートフォンには「あなたは妻より私を愛している」「私たちは一つになり、天国で生きるのです」などといったイライザからのメッセージが残されていた。妻はラ・リーブルの取材に「夫がイライザと会話しなければ、まだそこに居たはずです」と話し、このチャットボットが男性を死に追いやったと訴えている。
このアプリは、研究者組織「EleutherAI(エルーサーAI)」が開発した言語モデル「GPT―J」を利用して開発された。GPT―Jは、いま大きな注目を集める対話型AI「チャットGPT」(開発者・米企業オープンAI)が用いる言語モデルとは違うが、それと似たモデルをオープンソース化(無料で一般公開すること)したものとされる。
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