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知床観光船事故

2022年4月23日、知床半島沖で観光船が沈没。乗客乗員計26人のうち20人が死亡、6人が行方不明に。

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知床で不明の息子8歳に お祝いのタルトに絞り出す「おめでとう」

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観光船が沈没した事故で家族が行方不明となり、自宅で息子との思い出を語る男性=北海道内で2023年4月13日、貝塚太一撮影
観光船が沈没した事故で家族が行方不明となり、自宅で息子との思い出を語る男性=北海道内で2023年4月13日、貝塚太一撮影

 丸いフルーツタルトの上に立てた8本のろうそくの火が、目の前で揺らめいていた。「誕生日おめでとう」。北海道内の自宅で1月下旬、男性(50)は1人、こみ上げる涙を我慢しながら声を絞り出した。7歳だった息子と、42歳の母親は2022年4月23日、北海道・知床半島沖を巡る観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」に乗船したまま、今も帰ってきていない。

 息子の誕生日が近付くと、3人でよく食べたあのケーキを思い出す。イチゴやミカン、リンゴをたっぷり使ったフルーツタルト。息子はろうそくの火を一度で消しきれなくて「あれ?」とおちゃめに首をかしげた。何度も「ふーっ」と息を吹きかける様子を、母親はいとおしそうに眺めている。何気ない記憶がよみがえり、胸が苦しくなる。

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【知床観光船事故】

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