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好きなアイドルやスポーツチームなどを応援する「推し活」。これまで若者が中心だったが、高齢者の間にも広がりをみせている。一緒に歌ったり手を振ったり。年齢を感じさせない、情熱的な活動が、シニアの生活に潤いを与えている。
高齢者施設のアイドル
「待っていたよ。イエーイ!」
4月中旬、川崎市の介護付き老人ホーム「そんぽの家生田」では、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」でつながったテレビ画面に歌手の中田亮さん(34)が登場すると、90代が中心の入居者ら十数人から拍手と黄色い声援が飛び交った。オンラインコンサートは最後まで盛り上がりが途切れなかった。
中田さんは甘いマスクと美声で、高齢者施設に入るシニアの間で人気が急上昇している。昭和歌謡をリクエストすれば、ギターを手に即興で歌う。そんな中田さんの異名は「懐メロ王子」「高齢者施設のアイドル」。この日は、相棒の阿部泰久さんと共に出演した。
最前列の椅子に座った女性(92)は、応援グッズの赤いポンポンを振りながら「亮ちゃーん」と笑顔で連呼する。長渕剛さんの「乾杯」をリクエストした上野フヂさん(90)は、中田さんとのトーク中に投げキスの仕草でラブコールを送った。「孫にならない?」「亮君の目がたまらん」といった声も続々と投げかけられ、中田さんがたじたじになって答える場面もあった。
上野さんは「要望した曲ができなくても、次は歌えるように練習を一生懸命してきてくれるのがうれしい」と魅力を語る。歌声が響く間も表情が硬いままの入居者もいたが、中田さんと会話する時は笑みをこぼす瞬間が見られた。
「うちわは重い」それなら…
大胡美保子さん(94)は中田さんを「90代のアイドル」と呼んで推していて、「NHKの紅白歌合戦に出場できるように応援している。それが私の生きる希望」と目を輝かせていた。
「そんぽの家生田」を運営するSOMPOケアによると、…
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