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虐待や性暴力を受けて家に居場所がない少女らを支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」のバスカフェ活動が、激しい妨害行為を受けて一時、休止に追い込まれた。約1カ月ぶりに活動を再開したものの、今後の見通しは不透明なままだ。
うずまく叫びや怒号
3月8日午後8時、東京都新宿区歌舞伎町の区役所前。マイクロバスの近くをピンク色のテントで覆った「バスカフェ」に、電灯がともった。
バスには食品や衣類、生活必需品のほか避妊具が積まれ、充電機器や無料でWi-Fi(ワイファイ)が使える環境が整う。コラボは来訪を待つだけでなく、行き場がない少女に声を掛けて相談に乗る。この日は代表の仁藤夢乃さん(33)が「声かけチーム」として、街に繰り出した。
だが、すぐに複数の男性に取り囲まれた。
「税金泥棒」「公金チューチュー」「不正会計」
男性らはそう叫び、仁藤さんらに接近し、スマートフォンで撮影を続けた。その後、動画配信も始める。
バスカフェは少女らのシェルターとしての役割もあることから、撮影の中止を求めるコラボ側に、男性らが「公道の通行を妨害するな」などと主張。現場が騒然となった。こんな光景は2022年12月から頻繁に見られるようになっていた。
食事代や宿泊代は「必要性がある」
性被害やDV(ドメスティックバイオレンス)、虐待、貧困などで悩む若い女性は、公的機関とつながりにくく、問題が顕在化しにくい。
このため国は、行政と民間団体がタッグを組んで支援に取り組む必要があると判断。コラボの活動は18年度以降、都から「若年被害女性等支援(20年度まではモデル)事業」の委託を受けていた。
「公金チューチュー」といった言葉は、税金で賄われているバスカフェ活動で不正会計があるとの趣旨で使われ、ツイッターなどで拡散。21年度の委託費(2600万円)の返還を求める住民監査請求も出された。
都監査委員会は23年1月4日、ホテル宿泊費の水増しなど不正会計があったとする主張の大半を退ける監査結果を公表。一方で、比較的高額な食事代や宿泊代があるなどとして、都に再調査を勧告した。
都は3月3日、食事代や宿泊代は、支援対象者の自立を図る目的で「必要性が認められる」とする再調査結果を発表した。税理士への報酬で、委託事業以外の業務も含めて全額計上したなど192万円は「事業経費としては認められない」としたものの、支払い済みの委託料上限(2600万円)を上回っており、返還請求はしないとした。
監査委の勧告について、元会計検査院局長の有川博・日大客員教授(公共政策)は「経理処理の仕方でミスがあったとの指摘で、意図的な不正処理があったとは認定していません」と解説する。その上で、委託費の対象となる経費の費目を周知、指導する役割があったのに、「もっぱら事業者に負担や責任を負わせる形になっていた」として、「都の責任や役割が問われる事態になっています」と指摘する。
コラボに批判的アカウントは約16万
東大大学院工学系研究科の鳥海不二夫教授(計算社会科学)は、22年7月から23年1月にツイッターに書き込まれた投稿のうち、「Colabo」「仁藤夢乃」、監査請求をした男性のハンドルネーム「暇空茜」などのキーワードが含まれる約428万ツイートを分析した。
コラボを擁護する投稿をしたの…
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