「輸血しないで」搬送の18歳が懇願 信仰と救命、医療現場の苦悩
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全国の中核的な小児医療機関を対象に毎日新聞が実施したアンケートで、宗教を理由とする子どもへの医療拒否を3割が経験していた。医療現場では一定のルール作りが進む一方で、法的な後ろ盾は乏しい。信仰の自由に配慮しながら、命や健康が脅かされる「宗教2世」を救うにはどうすればよいのか。
「エホバです!」。1997年9月。交通事故で大けがをした18歳の男性が京都第一赤十字病院救命救急センター(京都市)に搬送されてくるとスタッフが叫んだ。
男性は輸血拒否を教義とする「エホバの証人」の信者。大量出血し、もうろうとする意識の中で「輸血しないでください」と懇願した。当時、副センター長だった浜島高志医師(66)は「輸血しないと難しい」と頭を抱えた。
両親の意見対立、教団交えた緊急会談
駆けつけた信者の母も輸血を拒んだ。一方、信者ではない父は「輸血してくれ」と意見が合わず、2人の間で怒号が飛び交った。
さらに、男性はバイクでトラックに追突された被害者と判明。死亡すると加害者の罪が重くなり、病院も十分な治療をしなかったと訴えられる可能性が出てきた。教団関係者も交えた緊急会談で、病院側は…
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