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第81期名人戦

第81期名人戦七番勝負は、初挑戦の藤井聡太王将が渡辺明名人を破り、4勝1敗で名人位を奪取。最年少名人獲得記録を更新、史上2人目の7冠を達成した。

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盤寿の名人戦

2年連続で名人位に挑んだ斎藤慎太郎八段が語る「覚悟」

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2年連続で名人戦の挑戦者となった当時の対局を語る斎藤慎太郎八段=大阪市北区で2023年4月11日、梅田麻衣子撮影
2年連続で名人戦の挑戦者となった当時の対局を語る斎藤慎太郎八段=大阪市北区で2023年4月11日、梅田麻衣子撮影

 佐藤天彦九段(35)、稲葉陽八段(34)、斎藤慎太郎八段(30)、そして藤井聡太王将(20)。この4人には共通項がある。いずれも順位戦でA級に昇級した1期目で名人戦の挑戦者に名乗りを上げたのだ。佐藤は当時の羽生善治名人(52)を破り一気に名人位を獲得。藤井はこの春、渡辺明名人(39)と七番勝負を繰り広げている。一方、斎藤は2期連続で挑戦者になったものの、名人の厚い壁にはね返された。トップ棋士のし烈な争いの中で、苦い経験をどう生かすか、名人戦について聞いた。【新土居仁昌】

 勝負ごとには勢いが大事。とはいえ、近年、A級初参加の挑戦者がこうも続くとは。若手の底上げが急な、躍動する将棋界を象徴するかのようだ。

 第79期名人戦。8勝1敗でA級リーグ戦を勝ち抜き、ひのき舞台に立った27歳の斎藤も、渡辺名人を前に臆するところはなかった。2021年4月、ホテル椿山荘東京での開幕戦。対局前日の検分では「名人駒」に見入った。名人戦の第1局にのみ使われる秘蔵の駒。普段の対局では上位者が「王将」、下位者が「玉将」を持つが、名人駒は例外的に2枚とも「玉将」だ。「双玉(そうぎょく)は普段はないので、じっくり見比べました。将棋の内容もよくなるかもと、自分にとってプラスの気分でした」と振り返る。

 振り駒で先手番を握ると、用意の矢倉戦に誘導。「子供の頃から指し慣れた、一番自信のある戦法…

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【第81期名人戦】

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