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グローバルサウスの一角、中東取材 世界の現実、向き合う覚悟を=真野森作(外信部/前カイロ特派員)

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シリア内戦を逃れ、難民キャンプで暮らす人々。過酷な生活環境だが、笑顔も見せていた=レバノン北部で2023年2月8日、真野森作撮影
シリア内戦を逃れ、難民キャンプで暮らす人々。過酷な生活環境だが、笑顔も見せていた=レバノン北部で2023年2月8日、真野森作撮影

 車線など、あってないようなものだ。クラクションで存在をアピールしながら、数々の車が競うように先を急ぐ。路傍では、つばを飛ばし合っての口げんかや、行商の売り声が飛び交う。かたや、歩道に小さなカーペットを敷いて、定時の祈りをささげる熱心なイスラム教徒も少なくない。ほこりっぽくて乾いた街に強い日差しが照りつける。その太陽が西へ傾くと、ナイル川のほとりは夕涼みの若者や家族連れでにぎわう――。

 2020年春から今年3月まで、私が3年ほど駐在したエジプトの首都カイロの日常風景だ。雨は年に10回も降らないだろう。多雨多湿の日本とはあまりに異なる風土を背景に、日本とは大きく異なる社会がある。

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