強制不妊、崩した「時の壁」 国賠訴訟、原告6連敗→7勝7敗 「除斥期間」適用認めず

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高裁判決で4件目の原告勝訴となった大阪高裁判決について国が上告したことを受けて記者会見する東京訴訟の北三郎さん(活動名、左)と新里宏二弁護士=東京・永田町で2023年4月5日、遠山和宏撮影
高裁判決で4件目の原告勝訴となった大阪高裁判決について国が上告したことを受けて記者会見する東京訴訟の北三郎さん(活動名、左)と新里宏二弁護士=東京・永田町で2023年4月5日、遠山和宏撮影

 旧優生保護法下で不妊・中絶手術を強制されたとして被害者が国に賠償を求めた訴訟は、序盤の「原告6連敗」の流れが一変し、各地で国に賠償を命じる判決が出ている。通算成績は7勝7敗のイーブンになった。何が流れを変えたのか。今後の救済の可能性を探った。

流れ変えた大阪高裁判決

 「やっとここまでたどり着いた。政府は上告を取り下げるべきだ」。国が4件目の上告をした4月5日、全国被害弁護団共同代表の新里宏二弁護士は記者会見で訴えた。この日までに出された高裁判決は4件で、いずれも「不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する」とした民法の「除斥期間」の適用を制限して国に賠償を命じていた。弁護団は最高裁でも被害者側の勝訴は確実だとして、岸田文雄首相に政治決断を求めた。

 弁護団によると、2018年1月の最初の提訴以降、被害者ら35人が12地裁・支部に訴訟を起こした。当初は19年5月の仙台地裁判決を皮切りに、旧法の違憲性は認めるものの、除斥期間を主な理由に被害者側の賠償請求を棄却する判決が続いた。旧法に基づき手術が実施されたのは1950~60年代が中心で、手術時を除斥期間の起算点とした場合、提訴時に20年が過ぎているのは明らかなためだ。

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