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あした元気になあれ

小国綾子記者の「元気」を追いかけるコラム。

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音楽の中に生きた夜=小国綾子

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作曲家、三善晃さんの生誕90年と没後10年を記念した「反戦三部作」の演奏会のチラシ
作曲家、三善晃さんの生誕90年と没後10年を記念した「反戦三部作」の演奏会のチラシ

 大変なものを聴いた。いや、「体験した」の方が実感に近い。

 12日、東京都交響楽団の「三善晃生誕90年/没後10年記念:反戦三部作」(指揮・山田和樹さん、東京混声合唱団、東京少年少女合唱隊など)の演奏会に行った。

 作曲家の三善さんは12歳で敗戦を迎えた。一緒に川遊びしていた友だちが米軍の機銃掃射で死ぬのを目の当たりにした。生き残ったことへの罪の意識を胸に深く抱き、特攻隊員の遺書などをテキストに選んだ「レクイエム」(1972年)、「詩篇」(79年)、「響紋」(84年)を書いた。後にそれは「反戦三部作」と呼ばれた。

 オーケストラの叫喚と、悲鳴のような合唱。圧倒的な音響の中、私はなぜか「ナイフを突き立てれば血が噴き出す唯一の楽器が人間の体なんだ」と衝動的に思った。<母よ あなたの息子が人殺しにされたことから 眼(め)をそらしなさるな>。そんな歌詞が辛うじて聞き取れた時、25歳の息子を持つ母親として、ただ胸をえぐられた。

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