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天井が高く開放感のある建物、外には人工芝のドッグラン――。埼玉県川越市にあるおしゃれなカフェには近隣住民が集い、子どもからお年寄りまでさまざまな人たちでにぎわう。このカフェ、障害者就労支援施設「able! FACTORY」(エイブル・ファクトリー)内にあり、アダルトグッズメーカー「TENGA」(テンガ)=東京都中央区=が運営している。なぜ、テンガが障害者福祉なのか。【山田奈緒】
TENGAの松本光一社長が障害者支援に取り組むきっかけは何だったのでしょうか。インタビュー記事で詳しく語ってくれました。
「セックスに憧れる」 障害者の欲求に向き合うTENGA社長
2022年5月にオープンしたエイブル・ファクトリーには「テンガ」や「障害者支援」といった文字は見当たらない。店内には、「カフェの奥はなに?」と興味を持ってから施設がテンガの運営だと知る客や、「え、テンガなの。障害のある人が働いてるの」と驚く客の姿があった。
ここは就労継続支援B型事業所の指定を受けており、一般企業で働くのが難しい障害者に作業やスキルアップの機会を提供している。障害者はカフェで調理補助や接客をするほか、奥の作業室ではオーダーTシャツの制作やテンガ製品のフィルム包装などに携わり、工賃を得ている。
「障害者は恋愛をするし、性欲もある。『障害者と性』をタブーにしない。その覚悟を詰め込んだ場所がここなんです」。施設長の木村利信さん(60)はそう言って、オープンから1周年を迎えるカフェを見回した。
きっかけは、福祉の道を歩んでいた木村さんと、テンガ創業者の松本光一社長(55)との6年前の出会いにさかのぼる。
木村さんは約20年前に東京都江戸川区でNPOを設立し、身体障害者の訪問介護や知的障害者の余暇活動の支援に取り組むようになった。
複数の職員と障害者が車に乗って買い物に出掛けた際、木村さんと障害者の女性が車内で2人きりで待つことになった。すると突然、女性が抱きつき、キスをしてきた。特別支援学校を卒業して間もない若いダウン症の女性だった。
予想もしなかった行動に木村さんは声を出せず、力強く抱かれ…
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